2014 Fiscal Year Research-status Report
急冷凍結法と低温超音波計測を用いたシリコン結晶の原子空孔形成エネルギー決定の研究
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26390055
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
金田 寛 九州工業大学, 大学院工学研究院, 特任教授 (30418131)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シリコン / 原子空孔 / 形成エネルギー / 急冷凍結法 / RTA |
Outline of Annual Research Achievements |
原子空孔の急冷凍結に必要となる冷却速度(下限値)の目安を得るため,予備実験として,チョクラルスキー法で育成された高濃度空孔導入シリコン結晶に対して,新潟大学において低温超音波計測の方法によって凍結単原子空孔の検出実験を試みた.
実験はまだ完了していないが,現段階では特別に高濃度の単原子空孔による大きな低温弾性ソフト化は観測されていない.まだ結論には至っていないが,チョクラルスキー法による結晶育成の途中で融液(メルト)から結晶を切り離し,高速巻き上げによって結晶の急冷を実現するという方法では,高濃度空孔を凍結することができない可能性が出てきた.同様な,融液からの切り離し急冷結晶を用いた追試を行うが,結果が否定的である場合には,早々に,本命であるRTA法による高温熱処理後急冷の処理を施し,高濃度空孔を凍結した300mmシリコンウェーハを作成する段階に進む.
このRTA処理は,グローバルウェーハズ・ジャパン株式会社の協力によって,製品製造用の高温RTA装置を使って行うため,目下,同社と本学との間で試料提供に関する機密保持覚書の取り交わし手続きを進めている.機密保持覚書の取り交わしが済み次第,すぐにRTA処理シリコンウェーハ(第一弾)の作成に取り掛かる.今のところ,現状で(製品製造に使う条件で)実施可能なRTA処理を施したウェーハは,6月末には入手できる見込みであり,7月-9月にかけて,新潟大学において,単原子空孔濃度検出のための低温超音波実験を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の研究計画では,平成26年度と27年度前半をかけて,直径が300mmで,厚さが775μmのデバイス製造用両面研磨ウェーハにRTAを施すことによって,高温の熱平衡原子空孔が急冷凍結されたウェーハ試料を作成する予定になっているが,現在この予定と目標に沿って,RTA処理ウェーハの作成作業が進んでいる.
達成度の正確な評価ができるのは,とりあえず,実施可能なRTA処理の最高温度と,そこからの最高急冷速度に関する見通しが得られてからとなる.
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Strategy for Future Research Activity |
RTA処理ウェーハの作成に関して協力が得られるグローバルウェーハズ・ジャパン株式会社との機密保持覚書の取り交わし手続きが完了し次第,現状のRTA処理装置の運転条件(温度,冷覚速度,密閉性(希ガス密閉型))によって,ウェーハを作成する.これに対して低温超音波法による空孔濃度測定を行い,未だ空孔濃度と凍結状態(孤立状態が維持された単体の原子空孔になっている状態)に不足がある場合には,RTA処理の条件を,製品製造の通常運転条件かた,さらに過酷な高温・急冷の処理条件実現に向けて協力企業と検討を行う.
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Causes of Carryover |
RTA処理ウェーハをメーカから購入する予定になっているが,メーカが供給に関して機密保持覚書を取り交わす必要があるとの事情から,ウェーハの購入はその覚書取り交わし後となった.そのため,RTAウェーハ購入予算として計上した900,000円は,26年度には未消化となった.しかし,覚書取り交わし後,遅くとも27年9月までには,この予算消化の見込みである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RTA処理ウェーハを供給してくれるウェーハメーカとの間で7月までには,機密保持覚書を取り交わしを完了し,同年9月までには計上予算900,000円を用いて.26年度計画分のRTAウェーハ購入を完了する計画である.
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[Presentation] Absolute value determination of vacancy concentration in silicon crystals using low-temperature ultrasonic measurements2014
Author(s)
Hiroshi Yamada-Kaneta, K. Okabe, M. Akatsu, S. Baba, K. Mitsumoto, Y. Nemoto, T. Goto, H. Saito, K. Kashima, Y. Saito
Organizer
2014 ECS and SMQD Joint International Meeting
Place of Presentation
Moon Palace Resort, Cancun, Mexico
Year and Date
2014-10-05 – 2014-10-10
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