2015 Fiscal Year Research-status Report
Ⅲ族窒化物半導体中のプラズマ照射誘起欠陥の発生と移動機構の解明
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26390056
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 成志 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70336519)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Ⅲ族窒化物半導体 / プラズマ照射誘起欠陥 / プラズマダメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,Ⅲ族窒化物半導体中のプラズマ照射誘起欠陥の導入・移動における光の影響の解明を目的に研究を行った.これまでの研究成果により,バンドギャップエネルギー以上の光(紫外線)は,n型GaN中のプラズマ照射誘起欠陥を結晶表面から内部方向へ移動させる効果があることが分かっているが,バンドギャップエネルギー以下の光についてはその影響は明らかにされていなかった.そこで,プラズマ照射誘起欠陥が導入されたn型GaNショットキーダイオードに対して,熱・光・電圧を個別もしくは同時に印加することで,各パラメータと欠陥の移動との関係を調査した.プラズマ照射誘起欠陥によりドナーが不活性化されている状況を欠陥とドナーとが結びついているものと仮定した場合,ドナーの再活性化にはそれらの解離と欠陥の移動との2過程が必要となる.実験結果より,熱はその両方の過程に関与していること,光(特にバンドギャップエネルギー以下の光)は欠陥の荷電状態を変化させることにより解離に関与していること,電圧は欠陥の変化した荷電状態の維持とその欠陥が移動する方向に関与していることが明らかになった.特に重要な点は,欠陥の荷電状態にかかわる電圧の効果,すなわち欠陥準位とフェルミ準位との位置関係である.n型GaN中の欠陥準位は通常フェルミ準位よりも下に位置するが,逆方向電圧を印加することで欠陥準位がフェルミ準位よりも上に位置することができ,荷電状態を変化させることができる.それにより欠陥とドナーとの解離と欠陥の移動が起こると考えられる.一方,p型GaNの場合には,欠陥準位は電圧印加のあるなしにかかわらず,常にフェルミ準位よりも上にあることから,荷電状態は変化しないことも分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,プラズマ照射誘起欠陥の導入・移動における光の影響の解明を計画していた.欠陥移動に関しての光(バンドギャップエネルギー以下の光)については,当初の計画以上に検証ができた.光容量分光法測定の温度依存性から,プラズマ照射誘起欠陥は格子と強く結合しており,従来GaAsで確認されているEL2などの欠陥と同様の特徴があることが明らかにできた.このため,おおむね順調と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後については,申請書に記載した当初の研究実施計画(平成28年度計画)に従い研究を推進する.
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Causes of Carryover |
計画にあわせて適切に使用したが当初見積額と実際の購入額にわずかな差があったため.少額であるため,無理に今年度で使用する必要はないと考えた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度予算とあわせて,計画通り実験消耗品の購入にあてる.
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Research Products
(3 results)