2014 Fiscal Year Research-status Report
全固体電池の出力特性向上に向けた正極材料表面修飾と電子線ナノ構造解析
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26390058
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
内藤 宗幸 甲南大学, 理工学部, 准教授 (10397721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子線構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は遷移金属酸化物非晶質薄膜の作製ならびに構造評価を行った。TiO2(001)単結晶基板上に形成された遷移金属酸化物非晶質薄膜の局所構造ならびに熱処理によって引き起こされる薄膜の局所構造変化と形態変化の振舞いを薄膜X線回折法と透過電子顕微鏡法を用いて詳細に調べた。非晶質薄膜の構造特性評価については、電子線ナノプローブによる組成分析を行うとともに電子回折強度の定量解析に基づく電子線動径分布解析を行い、原子相関距離などの局所構造についての知見を得た。また、非晶質薄膜の結晶化過程については、結晶化初期過程において非晶質薄膜と基板との界面で配向性を有する結晶相の形成が確認され、得られた結晶相は4種のバリアントから構成されることが明らかとなった。結晶薄膜中ではこれらのバリアントによるナノサイズの微細双晶が高密度に導入されたナノ構造体を形成していることが明らかとなった。このような微細双晶形成はTiO2(001)表面における{011}面の成長が関与していると思われる。一方、熱処理温度および熱処理時間の増加に伴い、薄膜と基板との界面での結晶化に加えて薄膜表面における結晶化が確認された。電子回折実験の結果、薄膜-基板界面で得られた結晶相と表面において形成された結晶相では結晶構造が異なることが明らかとなり、基板側では安定相、表面側では準安定相が形成されていることが分かった。更なる熱処理に伴い基板側の結晶成長が促進されることで表面側の結晶相は消失し単一結晶相が形成されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、当初の研究計画に沿って(1)遷移金属酸化物非晶質薄膜の作製と評価、(2)非晶質薄膜の電子回折実験、(3)非晶質薄膜の熱処理に伴う構造変化、についての研究が実施できたことからおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた基礎的な実験データをもとに、平坦基板ではなく酸化物粉体表面への非晶質薄膜形成に着手し、形成された非晶質薄膜および非晶質薄膜-粉体界面における局所構造情報の取得を試みる。
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Causes of Carryover |
本年度から次年度にかけての在外研究に伴い一定期間研究の中断が予測されたため、研究計画の見直しを行った。研究の連続性を考慮し、本年度購入予定であった物品については、在外研究終了後に購入するなど使用計画を変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の研究費に充当し主に物品費に充てる予定であるが、在外研究による研究中断のため、在外研究終了後の次々年度での使用を予定している。
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