2016 Fiscal Year Research-status Report
全固体電池の出力特性向上に向けた正極材料表面修飾と電子線ナノ構造解析
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26390058
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
内藤 宗幸 甲南大学, 理工学部, 准教授 (10397721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子線構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー消費量が世界的に増加する中、エネルギーの有効活用の観点から、生成されたエネルギーの輸送・貯蔵に関する技術開発が急務となっている。エネルギー貯蔵に関する分野では、次世代蓄電池の実用化に向けた取り組みが精力的に行われており、中でも、電池の要素材料である正極、負極、電解質がすべて不燃性の無機固体材料で構成される全固体リチウム二次電池は、従来型のリチウムイオン二次電池が抱える発火や爆発といったリスクを大幅に軽減することが可能であるため大きな期待が寄せられている。本電池の特性向上に向けて電極-電解質界面での電解移動抵抗の発生機構解明やその抑制が重要な課題の一つとなる。正極表面に緩衝層を形成させることで電荷移動抵抗が劇的に減少することが知られており、本研究では正極材料表面に被覆材として遷移金属酸化物の非晶質薄膜を形成させ、透過電子顕微鏡法を利用した電子線構造解析により、薄膜のナノ構造を原子レベルで明らかにすることを目指しているが、本年度の取り組みとして、Liを含有した非晶質薄膜を作製し、その構造について透過電子顕微鏡法を用いて評価した。薄膜形成基板として熱酸化シリコンを用い、基板表面に膜厚数100nmの非晶質薄膜を作製した。高分解能電子顕微鏡法、電子回折法などの透過電子顕微鏡法による断面観察による構造評価から、本試料は均一な非晶質相を形成した連続薄膜であることが確認された。また、本試料は電子線による照射耐性が低く、電子線照射に伴い導入されたダメージにより構造変化を生じたため、試料冷却ホルダーを用いて電子顕微鏡観察条件の最適化を行った。さらに熱酸化シリコンを用いて得られた薄膜作製条件をもとに正極粉末試料表面へ被膜する手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で作製したLiを含有する非晶質薄膜は電子線照射耐性が低く、照射に伴い構造変化することが確認され、電子線構造解析を行う上で障害となった。本年度導入した試料冷却ホルダーによりダメージ軽減が図られ、構造解析を行う素地が整ったが、実験条件の選定に想定していたよりも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はLi含有非晶質薄膜の局所構造について詳細な構造解析を行っていく。特に熱処理に伴う構造変化および熱的安定性について調べる。
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Research Products
(3 results)