2016 Fiscal Year Annual Research Report
Edge-selective graphene nanoribbion formation from n-alkane by dehydrogenation
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26390061
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
遠藤 理 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30343156)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフェンナノリボン / 直鎖アルカン / 金(111)面 / X線吸収分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は金(111)面に作成した直鎖アルカン単分子層を真空加熱による脱水素反応によってグラフェンナノリボンに変換する反応の詳細を明らかにし、エッジ構造を通じてバンドギャップを制御する手法を開発することを目的としている。構造制御の手がかりとして吸着単分子層内における分子の炭素骨格面の配向に着目した。昨年度までに配向は吸着量に依存することが明らかとなっていたが、本年度はさらに解析を進め、およそ10-20%程度の吸着量の違いで高吸着量の傾いた(tilted-on)配向と低吸着量の平行な(flat-on)配向が現れることが分かった。また真空中460 Kまでの加熱で分子が一部脱離し、高吸着量相が低吸着量相へと変化した。脱水素反応の温度と吸着量依存および生成する不飽和結合の性質に着目した解析を行った結果、480 Kから脱水素反応が開始し、温度上昇に伴って不飽和結合が増大すること、550 Kまでは未反応のアルキル鎖が残存していることが分かった。高吸着量相からの分子の脱離温度である460 Kが脱水素反応の開始温度480 Kよりも低いことから、高吸着量相の反応では脱離がやや先行しなら脱水素反応が進行すると考えられる。480~550 Kでの加熱生成物に対し臭素をドースしたところ、不飽和結合の一部に付加反応が起こった。このことは反応の初期段階で非芳香族性の不飽和結合が生じていることを示していると考えられる。非芳香族性の不飽和結合は低吸着量相からの生成物でより顕著であった。また、高吸着量相における分子はX線照射による脱水素反応を起こしやすいことが分かった。さらに臭素ドース後のX線照射によってアルキル鎖において置換反応が起こっていることを示唆する結果も得られた。π*CC遷移のエネルギーから判断すると生成物は多環芳香族で、ジグザグエッジに相当するものは得られなかったと考えられる。
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