2016 Fiscal Year Research-status Report
基板を利用した原子層薄膜の新たな電子物性発現への理論的研究
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26390063
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小林 功佳 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (80221969)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 表面界面電子物性 / 計算物理 / 単原子層薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は平成27年度に引き続き、アルカリ土類カルコゲナイド表面上のIV-VI族単原子層について理論的に研究した。IV-VI族単原子層は、結晶の対称性によってトポロジカルに規定できる電子状態を持つトポロジカル結晶絶縁体になることが理論的に予測されている物質である。しかし、この2次元トポロジカル結晶絶縁体状態を実現するには、単原子層の平面構造を保つ必要がある。単原子層の平面構造を保つ構造として、初めにアルカリハライド表面を考えたが、単原子層とアルカリハライド表面との相互作用が十分には強くないことがわかり、平成27年度は、相互作用がより強いと期待されるアルカリ土類カルコゲナイド表面上のIV-VI族単原子層を考え、さまざまな系について全エネルギー計算を行った。その結果、表面上で単原子層構造がエネルギー的に安定である系を見出した。平成28年度はこの系のより詳細な計算を行った。具体的には、平成27年度は表面の1×1の小さな単位胞で計算を行っていたのに対して、平成28年度には2×1、√2×√2、2×2のより大きな単位胞で計算を行い、単原子層の安定性をより正確に確かめた。この計算の過程で、IV-VI族単原子層の新たな構造として、4角形と8角形の構造から構成される新たな構造を見出した。これは、V族の元素であるビスマスの単原子層として、最近、理論的に見出された構造と類似の構造であり、IV-VI族化合物の対応物と言える。これらの研究成果は、国外で行われた2つの国際会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に行った計算を引き続き詳細に行った結果、これまで知られていない新たな単原子構造を理論的に見出したから。
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Strategy for Future Research Activity |
基板表面上のIV-VI族単原子層の計算を引き続き詳細に行うとともに、新たな単原子層の計算も行う予定である。
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Causes of Carryover |
発注した洋書が年度内に届かなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
洋書が次年度始めに届く予定なので、早速使用する。
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