2014 Fiscal Year Research-status Report
方位選択エピタキシによる複合面方位構造形成における異種方位領域間の完全分離技術
Project/Area Number |
26390067
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
井上 知泰 いわき明星大学, 科学技術学部, 教授 (60193596)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 極薄膜 / 表面海面物性 / 方位選択エピタキシ / 電子ビーム照射 / 複合面方位 / 絶縁層上シリコン膜(SOI) / トレンチ |
Outline of Annual Research Achievements |
電子ビーム誘起方位選択エピタキシャル成長法により、シリコン(100)基板上にCeO2(100)とCeO2(110)領域から成る複合面方位構造形成の研究を進め、両領域間に存在する遷移領域の大きさを支配している基板表面電位分布の拡がりを決定する要因の解析を進めた。本研究による複合面方位構造形成技術のデバイスプロセスへの応用性を高めるためには遷移領域幅を大幅に縮小乃至は無くする必要がある。 そこで先ず、低速電子銃のアパーチュアの内径を変化させて、1 mm迄小さくする検討を行い、電子ビーム照射サイズの精密制御を図った。遷移領域幅とシリコン基板の比抵抗の関係を詳細に検討し、その幅が比抵抗の対数に比例して減少し、電子ビーム径程度まで縮小できることが明らかとなった。 更に、抜本的に遷移領域を縮小するために、絶縁層上シリコン膜(Silicon-on-Insulator, SOI)基板を用い、リソグラフィーによりSOI層にストライプ状のトレンチを形成して、トレンチで分離されたシリコン領域間の電気的絶縁を図って、異種方位領域間の完全分離を目指す新たな手法を提案し、その実現性を追及するための実験を進めた。シリコン層の厚さが3マイクロメータ以上の場合に完全分離が可能であることを実証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バルクシリコン(100)基板での複合面方位構造形成のためのパラメータ解析、特にシリコン基板の比抵抗依存性について、ほぼ充分に解明することができた。その結果、異種方位領域間に存在する遷移領域幅を電子ビーム径(1 mm)程度まで縮小可能であることが分かった。 絶縁層上シリコン膜(SOI)基板を用い、リソグラフィーによりSOI層にストライプ状にトレンチを形成して、シリコン層と埋め込み酸化層をエッチオフして形成したトレンチで分離されたシリコン領域間の電気的絶縁を図って、異種方位領域間の完全分離を目指した実験を進めた。シリコン層が比較的厚い場合に完全分離が可能であることを実証できた。SOI基板は高価なため、その構造パラメータのバリエーションを数多く揃えて検討することが難しく、現在までに4種類の厚さについて検討を進めることができた。その中でSOIのシリコン層の厚さによる複合面方位構造の異種面方位領域間の完全分離のための条件が大まかに判明でき、初年度の研究の進捗状況としておおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
SOI基板の構造パラメータ、特にシリコン層の厚さのバリエーションを更に増やして複合面方位構造の異種面方位領域間の完全分離のための条件を更に精密に検討する。これまでに成功しているシリコン層厚3マイクロメータ以下で、どこまで薄くできるかについて検討を進める。 これまでに検討したSOI基板の中で、最も薄い 88 nmのものでは完全分離は成功していない。その原因として考えられるのは、エピタキシャル成長中に約60度の入射角でスパッタ粒子がSOI基板に入射して膜が堆積する際に、SOI層が薄すぎてトレンチ端部の傾斜が緩過ぎたため、電気的絶縁が不充分であったことである。そこで今後はトレンチ形成時にこれまで用いてきたHF+HNO3系薬品によるウェットエッチングに代えて、ドライエッチングとしてリアクティブイオンエッチング法を採用して、これまでよりも垂直に近い断面のトレンチ形成を利用する方法による改善を検討する。同時に、トレンチの断面形状のを走査型電子顕微鏡を用いて解析し異種面方位領域間の分離状態との関連を検討する。この実験の一部は産業技術総合研究所のナノエレクトロニクス研究部門のご支援を賜る予定である。
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Research Products
(3 results)