2015 Fiscal Year Research-status Report
高強度テラヘルツパルスを利用した半導体中電子スピンの超高速自由制御
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26390074
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森田 健 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30448344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 貴弘 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 特任教授 (90283738)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピン軌道相互作用 / スピン制御 / テラヘルツパルス発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,半導体量子井戸中の電子を高強度テラヘルツパルスで移動させ,スピン軌道相互作用による実効磁場(内部有効磁場)で電子スピンを超高速かつ自由に制御することである.以上の目的を果たすため、平成27年度は以下のことを明らかにした. ①スピン制御は高強度テラヘルツパルスによって行うが、スピンを制御できるだけの十分な強度を有するテラヘルツパルスの発生を行った.また,M字型光学系と呼んでいる独自の光学系を考案し,幅広い励起波長で高強度のチェレンコフパルスが生成できることを明らかにした.[1,2] ②高強度テラヘルツパルス照射によるスピン制御を行うためにはスピンダイナミクスの時間変化だけなく,空間移動の様子をとらえる必要もある.我々はInGaAs/InAlAs 量子井戸構造におけるスピンの時空間ダイナミクスの計測を可能とする光学システムを構築した.③②に関連する内容で,モンテカルロシミュレーションによるスピン軌道相互作用の強い半導体中でのスピンの振る舞いについて調べ,有効質量の小さいInGaAs/InAlAs 量子井戸構造は永久スピン旋回状態を壊す要因となるDresselhaus三乗項の影響を低減でき,室温PSH状態を実現するのに適した構造であることを明らかにした[3].各要素技術が確立できてきたことから,平成28年度からは本来の目的であるテラヘルツパルス照射時のスピンの時空間ダイナミクスを調べる研究に着手する.
[1] 塩澤建人,森田 健 他, 第76回応用部物理学会秋季学術講演会,名古屋 (2015) [2] 塩澤建人,森田 健 他, 第26回光物性研究会 III-A93 (2015) [3] R. Kurosawa, K. Morita et al., Appl. Phys. Lett. 107, 182103, (2015)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,テラヘルツパルスによるスピン制御の目的を果たすためには,高強度のテラヘルツパルス発生技術,スピンの時空間ダイナミクスの観測技術を確立することが重要であり,それらに関しては終えているため順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究終了までの一年間で,テラヘルツパルスにスピン制御に関する実験を行う予定である.実験では高強度テラヘルツパルス発生機構を組み込んだ時間分解ポンププローブ光学系を構築し,スピンが揃えられている数百ピコ秒の間に高強度テラヘルツパルスを照射する.時々刻々と変化するスピンダイナミクスとテラヘルツパルス波形の関係を明らかにし,テラヘルツパルスによるスピン制御を実現する.本研究では,テラヘルツパルス照射時間内(< 2ピコ秒)でスピンを一周以上回転させることを目標とする.
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Research Products
(4 results)