2015 Fiscal Year Research-status Report
正弦電圧ゲート動作型シリコン雪崩フォトダイオードによる光検出に関する研究
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26390087
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
行方 直人 日本大学, 理工学部, 助教 (20453912)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 単一光子検出 / シリコン雪崩フォトダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実用的なシリコン雪崩フォトダイオード(Si-APD)を用いた超高効率単一光子検出や過剰雑音抑制ホモダイン検出の実現を狙うものである。平成26年度においては、高い量子効率を有するSi-APDの採用と、高矩形振幅ゲート動作により波長780nmにおける85%の単一光子検出を達成した。 H27年度は、先ず、Si-APD駆動回路の改良を行い、それによる更なる単一光子検出効率の向上を狙った。改良されたSi-APD駆動回路は過剰電圧43V、幅2ns、繰り返し周波数500kHzの矩形ゲート動作を実現した。この駆動回路を用いて実験を行ったところ、過剰電圧上昇に依らず単一光子検出効率が定値となる飽和を初めて観測した。この飽和値はSi-APDの量子効率ほぼ同等であり、単一光子検出効率が量子効率とほぼ等しくできることを示せた。 これまでの研究において、量子効率や飽和単一光子検出効率の実測値はおよそ85%であるが、その正確さの拠り所は市販のパワーメーターによる光強度計測結果である。使用してたパワーメータの不確かさは±5%程度であり、85%にものぼる効率を評価するには精度が不足している。よって、時間相関光子対を用いた完全光子検出効率計測系の構築を行った。波長780nmの時間相関光子対は、無反射コートされたBBO結晶を波長390nmのフェムト秒レーザーによって励起することで発生させる。既設フェムト秒レーザーの不調により相関光子対の発生まで実施できていないが、これは次年度の課題としたい。 今回開発した高効率単一光子検出器を通信波長帯用波長変換単一光子検出器へ応用した。波長1550nmにおけるシステム単一光子検出効率45.6%を達成した。その効率は同様のシステムによるものでは最高値であり、また、単一光子検出器の効率(評価値)がほぼ正確である可能性を応用展開を通して確認できたという意味でも有意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、時間相関光子対による完全光子検出効率測定系を構築し、それによる単一光子検出効率の評価を目標の一つとしていたが、既設フェムト秒モードロックレーザーの不調により実施できなかった。モードロックレーザー用の励起レーザーの修理(冷却水循環系)および実験室空調環境整備、モードロッカーの防塵対策見直しを行い、現在、フェムト秒レーザーパルスの発振が可能となった。したがって、次年度の早い段階で、前記実験を完了したい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28年度は、研究成果発表および、研究に遅れが出た場合の予備期間と位置づけていた。H28年度は、前年度までに実施できなかった時間相関光子対による完全光子検出効率測定を先ず実施し、次にSi-APDの過剰雑音に関する研究を実施したい。
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Causes of Carryover |
時間相関光子対による完全光子検出効率評価実験を全て実施できなかったため、それに伴う光学部品の購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に時間相関光子対による完全光子検出効率評価実験を実施予定であるため、それに伴う光学部品購入に充てる。
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Research Products
(3 results)