2015 Fiscal Year Research-status Report
硬質・超撥水性を呈する電気自動車用プラスチック窓材の開発
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26390093
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
大越 昌幸 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 教授 (70283497)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ArFエキシマレーザー / シリコーン / 微細誘起構造 / シリカ微小球 / 超撥水性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、波長193 nmのArFエキシマレーザー誘起光化学反応を基に、シリコーンのシリカガラス(SiO2)への改質を伴わず、低分子量化に起因する隆起現象のみを発現させ、周期的な微細隆起構造をシリコーン表面に形成させる実験を行った。具体的には、厚さ2 mmのシリコーンゴム表面に、直径2.5ミクロンのシリカガラス製微小球を単層で整列させ、その試料にArFエキシマレーザーを、フルエンス10~50 mJ/cm2、パルス繰り返し周波数1~20 Hz、照射時間10~60 minで照射した。その後、試料をエタノールで超音波洗浄し、微小球を除去した。 フルエンス10 mJ/cm2、パルス繰り返し周波数1 Hz、照射時間60 minでArFエキシマレーザーを照射した場合の、試料の表面形態を走査型電子顕微鏡により観察した。その結果、シリコーンゴム表面には、微小球の整列に対応して、周期的な構造変化が認められた。これは、レーザー照射によって、微小球下のシリコーンゴム表面に、隆起構造が形成されたためと考えられる。また、形成された周期的な微細構造の高さ、形状およびサイズは、レーザーの照射条件により著しく変化することも明らかとなった。さらに、周期的な隆起構造が形成した試料表面に、水を滴下したところ、その接触角が160度以上となる実験条件も見出すことができた。したがって今年度は、シリコーンゴム表面への周期的な微細構造の形成と、その構造変化による超撥水性の発現を実証することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、当初の予定である下記2点について成果を得ることができた。 (1)シリカ微小球を介したArFエキシマレーザーの照射により、シリコーンゴム表面に周期的な微細構造を形成することができた。 (2)上記(1)により、水との接触角が160度以上となる超撥水性を、シリコーンゴム表面に発現させることができた。 バイプリズムを用いたレーザーの2光束干渉による微細周期構造形成のアプローチは、まだ成果に結びついていないが、微細周期構造形成と超撥水性の発現達成の観点から、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度で実証した手法により、周期的な微細構造が形成したシリコーンゴム表面に、波長157 nmのフッ素レーザー、あるいは波長172 nmのエキシマランプを一様に照射することにより、試料表面をシリカガラス化し、硬質化と超撥水性を同時に発現するシリコーンを開発することを行う。
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Causes of Carryover |
良い研究成果が得られてきていること、ならびに実用化を目的とした実験を行うために、平成28年度は国内外での学会発表旅費、および消耗品費を予定より多くしたく変更をしました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内学会旅費 1回@50千円×6 国際会議旅費 1回@200千円×2 消耗品費 一式@300千円
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