2015 Fiscal Year Research-status Report
サブ波長構造を有する液晶準光学素子によるミリ波ビームの広角走査デバイスの開発
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26390107
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 将樹 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60353231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液晶 / ミリ波偏向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、液晶を利用することでミリ波ビームを電気的に且つ広角に走査可能な偏向デバイスを設計し、液晶による70GHz帯ミリ波レーダやミリ波の走査装置の高機能化および小型化、低コスト化を目指すことを目的としている。 本研究課題において提案する2組のミリ波偏向デバイスについて解析および設計、セルの製作を試みた。サブ波長構造を有する液晶回折光学デバイスにおいて、液晶層の占有率に勾配を与えたデバイス構造として有効媒質理論を用いて、実際のセルパラメータを考慮して解析を行い、約5~6°程度の偏向角度を得た。このシミュレーション結果を元にセルの設計を行い、サブ波長構造の積層型液晶セルを作製して現在ミリ波による測定及び検討を進めている。 また、2組の対電極と共通電極間の印加電圧に基づく電位勾配により液晶の誘電率に勾配を与えた液晶偏向デバイスにおいて、分子配向シミュレーションの結果を利用する光線追跡シミュレーションのプログラムを作成し、FDTD法による解析との比較検討を行った。作成した光線追跡プログラムは、任意の屈折率分布を有する液晶層に対して、解析領域全体を正方格子のメッシュで分割して計算することができ、FDTD法と比べて計算時間を大幅に短縮することができる。今後、シミュレーションによるセルパラメータの検討を行う予定である。 次年度では、提案したミリ波偏向デバイスの作製における最適条件の検証、そしてミリ波帯における特性測定を行い、偏向角度の増大の可能性について検証して本研究を総括して取りまとめを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サブ波長構造を有する液晶セルを作製するにあたり、厚さの異なる薄ガラスを多数積層する必要があり、その製作技術を確立するために時間を要した。また、液晶材料の選定に関しても、入手のし易さ、扱い易さ、誘電異方性の大きさ等を考慮して時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、本研究課題で提案した2組の液晶偏向デバイスの解析および設計をして、試作した液晶偏向デバイスの測定を進めていく。また、50GHz帯、70GHz帯、90GHz帯のミリ波測定システムにより試作した液晶セルの基礎特性の測定を試みる。セルの構造、製作方法や材料等については、適宜見直しながら目標とする走査角度を得る方法について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
使用する液晶材料に関して、入手のし易さ、取り扱い易さ、材料の誘電異方性の大きさ等を考慮して材料の選定に時間を要したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
製作する液晶セルの設計パラメータを勘案して液晶材料を選定して購入を行う。購入にあたっては、翌年度分の助成金とあわせて考慮し、速やかに測定試料を製作し測定を行う。
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