2015 Fiscal Year Research-status Report
大強度陽子加速器のビーム窓におけるガス生成断面積測定
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26390114
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
明午 伸一郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門・J-PARCセンター, 研究主幹 (80354728)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 核種生成断面積 / 3GeV陽子 / アルミニウム / 核内カスケードモデル / 量子論的分子動力学 / ゲルマニウム検出器 / PHITS / Be-7 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に製作したサンプルチェンジャを用いて、アルミ(厚さ0.5mm)に3GeVの陽子ビームを入射し、アルミの放射化断面積の測定を行った。測定は昨年の12月に実施し、照射後にサンプルを真空容器から取り出し、核種崩壊によるガンマ線をゲルマニウム検出器で測定した。その結果、3GeV陽子に対するアルミから生成するBe-7, Na-22, Na-24の生成断面積を取得できた。入射陽子の強度やビーム形状などが高精度に測定できたため、実験の誤差は数%と低くすることができた。全ての生成核種に対し、既存の低いエネルギー領域の結果の外挿結果と良い一致を示した。
本測定による結果を用いて、核子中間子輸送計算コード(PHITS)の様々な核内カスケードモデルと量子論的分子動力学モデル(QMD)を用いた計算との比較検討を行った。Na-22, Na-24の生成断面積は比較的良い一致を示すものの、Be-7の生成断面積は過小評価をする傾向を示した。また、比較のために評価済み核データライブラリ(JENDL-HE)との比較を行った。JENDL-HEは若干の過大評価を示すものの、良い一致を示す。これはこのライブラリは実験値に合うようにスケーリングしたためである。ただし、以前の3GeVのデータは測定精度が悪かったので、この結果に引っ張られて過大評価をすることが明らかになった。
以上の現状報告及び成果は、IBICやACCAPP等の国際会議や量子サイエンスフェスタ等で口頭発表を行い速報として報じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射化断面積が予定した通り測定に成功し、さらに計算との比較により各モデルの問題点が浮き彫りになってきた。ビームダンプ周辺の放射線に起因すると思われる劣化に伴い四重極質量分析器が故障してしまったために、ガス生成の断面積は測定を行うことができなかった。今年度に修理を行い再度測定を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は入射エネルギを変更し放射化断面積を測定する。さらに、四重極質量分析器が復旧された後にガス生成断面積測定を行う。
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Causes of Carryover |
2016年の6月に予定される実験の結果を受けて必要とされるサンプルを購入するために繰り越しを行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプル等の購入に用いる。
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