2015 Fiscal Year Research-status Report
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26390115
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
林 由紀雄 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (20360430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小瀧 秀行 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (60354974)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 単色X線生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
超短パルス高出力レーザーをガスターゲットに照射すると、ガス電離プラズマが生成される。レーザーが通り過ぎた後プラズマ中に生成されるレーザー航跡場により、プラズマ中の電離電子は数10MeVまで加速できる事が報告されている。この手法を用いて発生させた高エネルギー電子を単結晶に入射することで、指向性、単色性、単色エネルギー連続可変の特徴をもつパラメトリックX線を生成する事が本研究の目的である。 今年度はまずヘリウム、窒素、アルゴン等の希ガスターゲットに1018W/cm2以上の強度でJLITE-Xレーザー(300mJ, 30fs, 10Hz)を照射し、加速した電子のエネルギーを電子スペクトロメータで観測した。その結果、いずれの希ガスターゲットでも30-50MeVの電子が生成する事が確認できた。 次にパラメトリックX線を高効率で計測するためのX線計測器の開発に取り掛かった。この計測器は64chの2Dレイ光電子増倍管とCaF2(Eu)シンチレータで構成される。この計測器の信号を多チャンネルデジタイザでデータ取得する事で、パラメトリックX線の指向性をシングルショットで確認できるはずである。そこでX線計測器による2次元イメージングのテストを実施した。まず「J」の文字をくりぬいた鉛板(1mmt)を準備し、X線計測器の前に設置した。次に、約60 keVの校正用X線源(241Am)を照射したところ、予想通りX線計測器で「J」の2次元イメージ像を取得された。今回、X線計測器で2次元イメージ像が計測できる事を確認したので、最終年度はこの計測器でパラメトリックX線の空間分布(指向性)を計測する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パラメトリックX線生成に用いる高エネルギー電子生成は超短パルス高出力レーザーを用いて成功している。またパラメトリックX線生成の計測に必要なX線計測器も完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、超短パルス高出力レーザーとガスターゲットで生成した数十MeV電子を安定に生成させる条件を確立させる。その後、LiF(200)単結晶に数十MeV電子をブラッグ角の角度で入射し、発生した約20keVのパラメトリックX線の空間分布及び単色性を今回開発したX線計測器で確認する。
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Causes of Carryover |
本年度製作したX線計測器の64chアナログ信号をパソコンで取り込むためには、多チャンネルデジタイザが必要である。本来は多チャンネルデジタイザ(32ch)が二台必要であるが、使い勝手を確認する必要があったため、あえて一台しか購入しなかった。今年度多チャンネルデジタイザを使用してみることで本研究遂行に適している事が確認する事ができた。そこで次年度もう一台、同一仕様の多チャンネルデジタイザを手配する計画である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、計画している手配物品として多チャンネルデジタイザが挙げられる。次にX線計測器には高電圧電源(最大印加電圧 -1kV)が必要であるが、これまで使っている電源はリップルが大きいという問題があった。そこで本研究専用にリップルの少ない高電圧電源を一台手配し、より精度の高いデータ取得を目指す。その他、高エネルギー電子と物質の相互作用で生成する制動放射X線を遮蔽するための遮蔽体を手配する。
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