2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of operando cell with membrane for "in-situ" observations of electronic states in chemical reactions
Project/Area Number |
26390120
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
池永 英司 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (90443548)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 雰囲気制御セル / 固‐気界面 / 固‐液界面 / Operando計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高真空内に湿潤な試料環境を保てる雰囲気制御セルを開発し、反応中の化学状態や電子状態の“その場”観測を行う。従来の光電子分光は測定試料環境に高真空(10-6Pa以上)が必要で、湿潤な試料の適応が困難であった。SPring-8で開発された硬X線光電子分光法(HAXPES)を湿潤試料測定法へと高度化し、この問題を解決する。光電子透過窓を用いた実作動環境セル開発を行い、実デバイスへの応用実現に必要な要素技術を確立し、広い研究分野へ展開するため、高い汎用性を図る。 研究開発したセル機構はポリイミド膜厚10μmおよびSi3N4-メンブレン薄膜(厚:15nm)を用いることで高真空槽内(5×10-6 Pa)にリークなく保持することに成功した。光電子透過窓と試料位置間の距離を15μmと短くした「ガス用セル機構」を開発し、KBミラーを用いた1μm集光に本開発環境セルを適応させた。この機構を用いて、酸素雰囲気下の金属ナノ微粒子における量子サイズ効果に関する知見を得た。また実作動条件である反応ガスを制御した燃料電池触媒の電極反応中の各元素の化学結合状態や電子状態を直接観測した結果を報告した。Pt微粒子への酸素表面吸着に起因して強い軌道混成が起きることを明らかにし、水分子よりも酸素分子が触媒劣化に強く影響することを実験検証している。また液体試料を対象としたセルの開発にも成功している。エタノール(C2H5OH)溶液の角度分解計測した深さ依存結果から、明瞭なケミカルシフトした2つのC1sピーク(エタノールに由来)を観測し、溶液自体の化学結合状態観測が可能となった。溶液実験では、突発的にメンブレン膜が壊れ真空を悪化するトラブルも発生したので、さらにX線照射ダメージを調査し、微量溶液循環機構の製作やインターロックの構築等の安全対策を図り、固気、固液界面におけるオペランドHAXPES計測技術を確立している。
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[Journal Article] In Situ Hard X-ray Photoelectron Study of O2 and H2O Adsorption on Pt Nanoparticles2016
Author(s)
Y. Cui, Y. Harada, E.Ikenaga, R. Li, N. Nakamura, T. Hatanaka, M. Ando, T. Yoshida, G.-Ling Li, and M. Oshima
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Journal Title
J. Phys. Chem. C
Volume: 120
Pages: 10936, 10940
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant