2014 Fiscal Year Research-status Report
放射光微小ビームを利用した粒子間干渉効果低減化による孤立粒子構造評価法の開発
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26390124
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
増永 啓康 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (50398468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕史 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 光源・光学系部門, 副主幹研究員 (60416386)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小角X線散乱 / マイクロビーム / 結晶 / 寄生散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
試料中における粒子の形状とそれらの分散状態を評価するためには、数μmの微小領域における数百nmの構造を観測する手法開発及び装置の構築が必要である。26年度は測定システム構築のための装置設計及び検証実験を行った。試料の上流300mmの位置に直径5μmのピンホールを配置し、X線を整形することで微小ビームを得た。ピンホールと試料との間にSi(220)チャンネルカット結晶を配置し、結晶角度をダイレクトビームの回折角に一致させた。微弱なX線散乱光を取得するために、試料と検出器の間には8mの真空パイプを配置し、検出器を用いて散乱像を取得した。 0.15nmのX線を用いてX線CCDにより小角散乱像を測定した。チャンネルカット結晶を配置しない場合には、ピンホールから発生するストリーク状の寄生散乱が強く観測されたのに対し、チャンネルカット結晶を配置した場合には、結晶面と平行な方向以外の寄生散乱が効率良く取り除かれることが確認出来た。また、結晶面の平滑性に依存し、寄生散乱除去の状況が異なることが確認でき、結晶面の平滑性が非常に重要であることを認識した。結晶面の平滑性はその製作行程に大きく依存する。チャンネルカット結晶の製作では、面を平滑にすることが非常に難しい。そこで、結晶面が平滑な平板結晶を二組用いて、それらの並行性を調整することのできる小型チャンネルカット結晶装置の製作を検討した。現在、小型チャンネルカット結晶装置の製作を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、マイクロビーム極小角X線散乱法の構築に関し、27年度中にシステム構築及び検証を実施する計画としている。チャンネルカット結晶を用いた寄生散乱除去の検証は達成できており、現在制作している小型チャンネルカット結晶装置が完成により、測定・評価が可能となる。小型チャンネルカット結晶装置は27年度の秋に完成を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
チャンネルカット結晶を用いて寄生散乱を除去する手法について、先に成果報告を考えている。また、マイクロビーム極小角X線散乱法については、散乱理論等の検証を十分に行った上で、実試料測定を実施する。
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Causes of Carryover |
チャンネルカット結晶を購入する予定であったが、平板結晶を用いた二結晶分光装置の製作が必要と判断されたために、27年度の執行計画とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度に結晶角調整機構の製作を行い、小型チャンネルカット結晶装置を導入する。
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