2014 Fiscal Year Research-status Report
大規模詳細反応機構に基づく高効率反応性熱流体シミュレーション技術の確立
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26390128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺島 洋史(石原洋史) 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20415235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 反応性流体解析 / 燃焼反応 / 時間積分法 / ノッキング現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
硬直性の強い化学反応方程式に対して,高効率な陽的時間積分法を新規に提案した.まず,過去に提案されていたマルチタイムスケール(MTS)法に着目し,その欠点である堅牢性の問題に対し,新たに準定常仮定(QSSA)の考えを導入することで,より堅牢な陽的時間積分法(MTSQ)の提案を行うことに成功した.MTSQ法では,QSSAが有する数値安定性により,従来のMTS法では困難であった高圧や純酸素燃焼条件においても,堅牢に解析することが可能である.一方で,これらMTSに基づく方法では,化学種のグループ化が必要となるため,劇的な高速化が難しかった.そこで,QSSAの定式化に質量保存則を拘束条件として導入した新たな陽的時間積分法を開発した.本手法では,QSSAの導入により質量保存則にずれが発生することを解析的に導出し,その偏差が小さくなるよう時間積分が構築されている.0次元着火問題では,約400化学種のノルマルヘプタンにおいて,通常よく使用される陰解法VODEに対して,約80から300倍の高速化が可能であることが示されており.MTSQ法に比べ,約一桁の高速化を可能にした. 更に本研究では,高速時間積分法を導入した結果,大規模詳細反応機構を用いた反応性流体解析における新たな問題が,多数の化学種が存在する場合の混合輸送係数計算であることを特定した.そこで,粘性係数と熱伝導率に対しては,簡素な経験式を使うこと,拡散係数に対しては化学種バンドル法を導入することで,混合輸送係数計算の高効率化に成功している.化学種バンドル法により,拡散係数計算は,約400化学種のノルマルヘプタンにおいて,約60倍の高速化が可能である. 化学反応と流体を一体的かつ高効率に解析できる以上の手法は,1次元ノッキング解析に適用され,これまで明確ではなかった末端ガス自着火における圧力波発生機構を明らかにすることに成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模詳細反応を用いた化学反応方程式に対し,新たな陽的時間積分を提案することに成功した.既存の方法に比べ,堅牢性や高速性の点で優位であることが示されている.また,実際の反応性流体解析にも適用され,例えば,ノッキング現象の解明に役立てられている.
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Strategy for Future Research Activity |
高速陽的時間積分法と化学種バンドル法から構成される本手法を実際の1次元,2次元燃焼問題に適用し,その性能などを調査する.また,乱流燃焼モデルの調査,検討,そして実装を行い,大規模詳細反応機構を高効率に組み込める流体解析フレームワークを確立する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた反応解析ソフトウェアのライセンス購入が遅延したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度当初に反応解析ソフトウェアのライセンス購入に充てる
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