2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400002
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
別宮 耕一 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60364684)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 群論 / 代数的符号理論 / 頂点作用素代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題の主題である立方重偶符号とは二元体上の数ベクトル空間の部分空間で各元のハミング重みが8の倍数となるものである。 本研究の目的は、これまで得られた立方重偶符号に関する計算機による数値実験の結果、及び、分類結果から得られた知見を基に立方重偶符号についての一般論を確立することである。同時にその結果を頂点作用素代数についての研究に応用することで、頂点作用素代数についての新たな知見が得られることを期待している。 立方重偶符号の解明には極大なものの分類や特徴付けが本質的である。本研究代表者および研究協力者の先行研究において、長さ48までの分類が得られている。そこから、これまでの規則性に反する極大立方重偶符号の存在が確認されている。その極大立方重偶符号は、三角グラフと呼ばれる古典的なグラフの隣接行列を生成行列とする符号を拡張したものであり、その次元は他の極大立方重偶符号がもつ規則性から外れた性質を有している。 本研究課題の初年度にあたる本年度の成果は次の通りである。まず、これまで知られていない極大な立方重偶符号を構成することに成功した。加えて、これまで知られていない、極大な立方重偶符号の無限系列を発見することができた。新たに得られた極大な立方重偶符号は散在型単純群であるHigman-Sims群の他、Lie型の単純群を構成する際に現れる組み合わせ構造から得られる行列を生成行列とする符号として構成できる。加えて、構成される符号自身もそれら単純群の対称性を備えていることを確認することができた。 それらの成果については、いくつかの研究集会において、口頭発表を行った。現在、論文発表の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では計算機を用いた探索で得られた結果を基に、組合せ論の手法を用いた理論的なアプローチで構造を解明し、定式化することを目標のひとつとしていた。 実際の研究過程では計算機を用いて極大な立方重偶符号の探索を行い、得られた構造を組合せ論と有限群論の手法を用いて解析を行い、極大な立方重偶符号の無限系列を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
計算機を用いて、極大な立方重偶符号の探索を進める。その上で、得られた構造に対して、組合せ論や有限群論の手法を用いて解析を進めることで、より多くの構造の解明行う。
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Causes of Carryover |
設備備品費として、計算機による数値実験に必要なソフトウェアの購入、計算機の周辺機器の購入と文献調査に必要な書籍等の購入を予定していたが、年度内に調達することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
設備備品費として、計算機による数値実験に必要なソフトウェアの購入と計算機の周辺機器を購入する。加えて、文献調査に必要な書籍等を購入する。
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