2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400008
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木村 巌 富山大学, 理工学研究部(理学), 准教授 (10313587)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 重さ1のモジュラ形式 / 法l Galois表現の計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,主に重さ1のモジュラ形式(レベルNの主合同部分群に関する重さ1のモジュラ形式で,Hecke固有形式になっているもの)に付随する,2次元複素奇Artin表現を具体的に計算する,というテーマに取り組んだ.また,このテーマの研究上密接に関連する問題として,レベルNの主合同部分群についての重さ1のモジュラ形式を出来るだけ具体的に構成する(q展開として)という問題にも取り組んだ. 重さ1のHecke固有形式に,上記のArtin表現を対応させることは,Deligne-Serreにより1970年代になされた.この構成を再検討し,また,ここ10年ほどの,Edixhoven, Couveigneらによるモジュラ形式に伴う法l Galois表現の具体的な計算アルゴリズムの構成と組み合わせて,標記のArtin表現を計算するアルゴリズムが存在することを示した. 一方,このアルゴリズムを具体的に実装することにはまだ多くの困難があり,達成されていない. 関連する問題として挙げた,重さ1のモジュラ形式の具体的な(q展開としての)構成については,I. Kimingらの先行研究などを参考に,試行的な実装をした. 以上の研究内容について,国内外のセミナ・研究集会で報告した(ポスター発表含む).論文は現在作成中である. さらに,レベルNを無限大に飛ばした際に,"exoticな"(すなわち,射影像が二面体群ではないような)複素2次元Artin表現を持つ重さ1のモジュラ形式がどの個数についての漸近公式などについても,J. Ellenberg, W. Duke, P. Michael, A. Venkateshらの先行研究を参考にしながら考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画にしるした,Edixhovenらのアルゴリズム(法l Galois表現の計算,レベル1の場合と,レベルが1以上の場合)の実装については,特に後者(レベルが1以上の場合)について様々な困難があり,達成できずにいる.
Redei拡大に対応する重さ1のモジュラ形式(テータ級数)の計算に触発され,一般の重さ1のモジュラ形式(Hecke固有形式)についての複素Artin表現の計算というテーマを得て,そちらを先行させたことも理由の一つである.
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Strategy for Future Research Activity |
重さ1のモジュラ形式の具体的な計算アルゴリズムの実装を仕上げること,重さ1のHecke固有形式に伴う複素Aritin表現の計算を可能にすること(特に,法l Galois表現の具体的な計算を可能にすること)に取り組む.
重さ1のモジュラ形式に伴うGalois表現の計算に取り組んだきっかけとなった,冪零Galois拡大,さらに,非可解なGalois拡大体における素数の分解法則の具体的な記述などに取り組む.
さらに,Maass波動形式の場合は,複素偶Artin表現が対応し,その場合へ考察をひろげること,あるいは,前田予想やp分体のイデアル類群とHecke環の構造とを関連づけて考察することにもしだいに取り組みたい.
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