2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400024
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
諏訪 紀幸 中央大学, 理工学部, 教授 (10196925)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Kummer理論 / Artin-Schreier理論 / group scheme / algebraic torus / torsor / 正規底 / Hopf代数 / Hopf-Galois拡大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「有限群スキームと正規底問題」では、平成23年度から25年度にわたって基盤研究(C)で援助をいただいた。「クンマー理論を巡って、群スキームの理論の観点から」の成果を引き継いで、正規底をもつHopf-Galois拡大について研究を進めている。 平成27年度は「有限群スキームと正規底問題」の第2年度であったが、初年度に論文としてまとめ、学術誌に投稿していた論稿「Kummer theory for algebraic tori and normal basis problem」の掲載が決定された。丁寧な査読がなされ、それに対応することでいささかの時間を要したが、序文で研究の意義について加筆することによって、本研究の立ち位置をはっきりさせることが出来た。 「Kummer theory for algebraic tori and normal basis problem」では東京理科大学の木田雅成教授が研究の基礎を築いたalgebraic torusに対するKummer理論を、体の上で展開されていた議論を一般の環の上で一般化した。その中で木田氏による先行研究をisogeny problemとして捉え直し、議論を大幅に簡略にすることが出来た。これについては木田氏との共著として論文にまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
木田雅成教授が研究の基礎を築いたalgebraic torusに対するKummer理論について、群スキームの理論の枠組みの中で徹底して考察を進めたことによって、木田教授の研究をより明確にし、議論を簡略化できたことは一つの成果であろう。 ただ、徹底して一般化したことが裏目に出ているのか、本研究に対してそれ程の理解は得られていないように見受けられる。基礎環を体に限定して、従来から盛んに研究されて来た生成多項式の理論との関連について強調すべきだったと反省している。
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Strategy for Future Research Activity |
なすべきことは多いが、「Kummer theory for algebraic tori and normal basis problem」の結果を整数論や数論幾何学で応用して見せなければ、研究の意義について説得力に欠けるように思う。本来の研究主題であるfinite flat group schemeと正規底問題は常に心に入れておかなければならないにしても、「Kummer theory for algebraic tori and normal basis problem」の結果の具体的な応用を示す試みに取り組む必要がある。その意味で、木田教授との共同研究で生成多項式の具体的な例を見出したことは、本研究の進展とって非常に意義がある。 本研究は、SerreがGroupes algebriques et corps de classes (Hermann, Paris, 1955)で論述した、逆Galois問題を群環の可逆元のなす代数群によって捉える発想を出発点としている。この発想を基に生成多項式の存在や不変体の有理性に関するNoether問題は自然に議論が展開できるのだが、不思議なことにSerreの観察は看過されて来たようである。 R.G.Swan, Invariant rational functions and a problem of Steenrod, Invent. Math. 7 (1969)、H.W.Lenstra, Rational functions invariant under a finite abelian group, Invent. Math. 25 (1974)、D.J.Saltman, Generic Galois extensions and problems in field theory, Adv. Math. 43 (1982)、D.J.Saltman, Noether's problem over an algebraically closed field, Invent. Math. 77 (1984)、いずれも生成多項式やNoether問題に関する重要な論文であるが、どの論文もSerreの観点については言及していない。 また、生成多項式やNoether問題については日本でも少なからぬ数の研究者が研究しているが、これまで議論した限りでは群環の可逆元のなす代数群という発想はないようである。これからはこの点を強調しながら本研究への理解を求めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2016年3月20日から3月22日まで上智大学で開催された研究集会「Tokyo Journal of Mathematics 筱田記念号刊行に寄せて」では世話人として研究集会の準備と運営を担当した。研究集会を企画した段階でどれだけの講演者に旅費を提供しければならないかはっきりしなかったため、また、年度末の開催ということもあって、平成27年度の当研究に対する科研費の予算枠を超えないように、支出を抑える必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すべて図書費の充てられる。
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Research Products
(4 results)