2015 Fiscal Year Research-status Report
暗号および符号に関連する数論的関数とゼータ関数の研究
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26400028
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
知念 宏司 近畿大学, 理工学部, 准教授 (30419486)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 線型符号 / 剰余位数 / 原始根分布 / ゼータ関数 / リーマン予想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、暗号、符号の数論的構造を、ゼータ関数を中心として解明することを目的としている。関連するゼータ関数には、Duursma による符号のゼータ関数や、代数体の Dedekind ゼータ関数などがある。本年度は、符号のゼータ関数に関連した研究を行なった。これは、符号の重み多項式の母関数と言えるものであり、代数曲線のゼータ関数に似た性質をもっている。そしてリーマン予想も定式化できる。しかし、代数曲線の場合と違って、符号のゼータ関数がリーマン予想を満たすための条件はまだはっきりと確定されていない。例えば、「extremal 自己双対符号はリーマン予想を満たすだろう」という予想が Duursma により提出されているが、一部の系列に対してしか、この予想の正しさは証明されていない。さらに、extremal でなくてもリーマン予想を満たす符号も実在する。したがって、リーマン予想を満たす符号の特徴づけは、このテーマの最重要問題であり、また、extremal 自己双対符号以外にリーマン予想を満たす符号の系列を発見することも、大いに意義のある問題である。本年度の研究は、符号のゼータ関数の類似である、formal weight enumerators のゼータ関数に関する考察を行なった。Formal weight enumerators は、実在の符号の重み多項式に非常によく似ているが、MacWilliams 変換を施すとマイナスの符号がつくところが実在の符号の場合と異なっている。本年度は、新たな formal weight enumerators の系列発見の第一段階として、ある種の不変式環の構造を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リーマン予想を満たす不変式の実例がこの年度のうちに複数見つかっており、これはよい成果と判断できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、現在研究中の不変式環について、その詳しい構造決定や、リーマン予想を満たす系列の発見に努力する。困難が生じた場合は、数値実験により傾向をつかみ、目指すべき方向を修正するほか、組み合わせ論、群論に詳しい専門家に意見を求めて困難を回避する。
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Causes of Carryover |
年度の最後に有益なセミナー、学会が重なり、旅費の残額がやや不足気味になった。このため、最後の出張旅費を今年度分から支出することを中止したため、21366円が残ることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の残額21366円を次年度の研究費と合算した上、今年度最終の出張旅費を支出する。その残額は通常通り次年度分として出張旅費、物品費等に充当する。
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