2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400038
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 康二 千葉大学, 統合情報センター, 教授 (60228187)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 可換環 / シンボリックリース代数 / 加群のリース代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は(1)関連する既知の結果の見直し と(2)実例の解析に向けた準備 を行った。 (1)については Huneke の判定法を主に考察した。それは 3 次元正則局所環 R の高さが 2 の素イデアル P に対して定まるシンボリックリース代数 R_s(P) がネータ環になるかどうかを調べる為の方法である。Huneke の判定法は「R が 3 次元 Cohen-Macaulay 環で R / I が 1 次元 Cohen-Macaulay 環」という枠組みに一般化できることは既に確認していたのだが、高次元化と加群版への拡張を視野に入れて、証明の見直しを行った。オリジナルな証明は Hilbert 関数を巧妙に利用していて魅力的なものではあるのだが、何故その方法で証明できるのか?という部分が良く見えないという側面も持っている。そこで、より自然な手順で証明する方法を模索したのであるが、幸い、イデアルの reduction を用いた depth の評価と局所化の議論により、より簡明な証明を得ることができた。 (2)については自由R-加群の準同型写像 f : F → G の余核として現れるようなR-加群 M を主に考察した( R はネータ環とする)。主結果は「 f に適当な条件を付けると、M のリース代数は G の対称代数(これは R 上の多項式環になる)をある正則列で割った剰余環になる」というものである。この状況では Koszul 複体を考えることにより、G の対称代数上で M のリース代数の次数付自由分解を与えることができる。すると、その分解の斉次部分に注目することにより、M のべき乗のR-加群としての自由分解が得られるのである。来年度はこの結果を応用して M のべき乗のサチュレイションを計算してみたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R-自由加群の準同型写像の余核として現れるようなR-加群に対して、そのべき乗の自由分解を記述できたことは、今後多くの実例を解析する上で、重要なステップをクリアすることができたと言えるのではないかと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で見出すことができたR-加群のべき乗の自由分解を利用して、そのべき乗のサチュレイションの計算を実行してみたい。並行して、容易ではないと予想されるものの、Huneke の判定法を加群版に拡張してみたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究遂行の為に購入したパソコンの価格が安価であったことと、情報収集を目的とした出張の回数が少なかった為、実支出額が当初の予定を下回った。残った資金は次年度に繰り越し、有効に使用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数学を研究する際にも資料や文献の収集が様々な局面で必要になるので、その為の予算を充実させておかなければならないことは言うまでもない。一方、討論を通した他の研究者との交流も欠かすことのできない重要事項の一つである。この研究計画を実行する上でも、国内外の研究者と積極的に接触を持ちたいと思う。その為、旅費には十分な準備をしておく予定である。
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