2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400038
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 康二 千葉大学, 統合情報センター, 教授 (60228187)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 可換環 / シンボリックリース代数 / 加群のリース代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
標数が 0 の体 K 上の3変数多項式環 R = K[X, Y, Z] には、高さ 2 の素イデアル P でシンボリックリース代数 Rs(P) がネータ環にならないようなものが存在することは90年代半ばに行った共同研究で知っていたのだが、幾何学的な方法でそのような例を豊富に構成するするという最近の研究成果を知るに至り、我々の方法を見直してみることにした。ただし、この研究課題の観点を踏まえ、イデアルが素であるという事には固執せず、高さが 2 という仮定のみで考察を進めてみた(この状況は、階数が 1 の自由加群においてシンボリックなべき乗が通常のべき乗のサチュレイションに一致するような部分加群を扱っていることになる)。その結果、従来のものとは全く異なる性質を持つイデアルを見出すことができた。これまでに知られていた例は全て negative curve を定義するような「良い元」をイデアル自身の生成元の一つとして含んでいるのだが、今回発見した例は、イデアルの生成元の中には negative curve は存在せず、2次のシンボリック冪の中に初めて出現するようなものになっている。主結果は次のように述べられる:
正整数 a, a', b, b' を 1 < a'/ a < 5/4 かつ 2 < b'/b < (17a - 10a')/(6a - 3a') となるように取り、第1行が (Xのa乗 Yのb'乗 Z) で第2行が (Yのb乗 Z Xのa'乗) であるような2×3行列を考える。この行列の極大小行列式で生成される R のイデアルを I とすると、シンボリックリース代数 Rs(I) はネータ環にはならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
階数が 1 の場合(即ちイデアルの場合)を主に考察することとなったが、周辺での最近の動向に適切に反応し、意味のある結果を得ることができたのではないかと自分自身では評価している。加群のリース代数を考察する上でも、イデアルが素であるという条件を除けたことは重要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、平成27年度の研究成果を論文にして公表する。その後は基礎体が正標数の場合を扱ってみたい。イデアルの場合であっても、シンボリックなべき乗やべき乗のサチュレイションの計算を実行してみせている結果は少ないので、多くの具体例を調べてデータを蓄積したいと思う。余裕があれば、加群のリース代数についての考察をイデアルのリース代数に関する議論に帰着させる方法についても調べてみる予定である。
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Causes of Carryover |
研究遂行の為に購入した機器の価格が安価であったことや図書の購入が見込みよりも少なかったこと、更に、情報収集を目的とした出張の回数が少なかったことなどが原因となり、実支出額が当初の予定を下回った。残った資金は次年度に繰り越し、有効に使用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数学を研究する際にも資料や文献の収集が様々な局面で必要になるので、その為の予算を充実させておかなければならないことは言うまでもない。一方、討論を通した他の研究者との交流も欠かすことのできない重要事項の一つである。この研究計画を実行する上でも、国内外の研究者と積極的に接触を持ちたいと思う。その為、旅費には十分な準備をしておく予定である。
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Research Products
(3 results)