2015 Fiscal Year Research-status Report
射影多様体の埋め込みと定義方程式およびm-射影正規性
Project/Area Number |
26400041
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
野間 淳 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (90262401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 射影多様体 / 斉次イデアル / 定義方程式 / 射影埋込み / m正規性 / カステルヌーボ-マンフォード正則数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,射影多様体Xが次数d,次元n,余次元eのとき,「Xを含む次数(d-e+1)以下の全ての超曲面の共通部分はXと一致する」「(d-e)次以上の全ての超曲面が作る線形束はX上で完備である」の証明を目標に,この周辺の問題の発見とその解決を目指している. 点からの線形射影が射影多様体Xとその像との間の双有理写像を引き起こさない中心点を,Xの非双有理中心点とよぶ.Xの外,Xの内の非双有理中心点の集合をそれぞれ,B(X), C(X)と表す.これまでに,Xを含む次数(d-e+1)以下の超曲面の共通部分は,B(X),C(X)とXの特異点集合を除き,Xと一致することが示され,本研究ではB(X), C(X)を調べることが課題である. 今年度,これまでの研究の再検討と残された課題を中心に研究を進めた.第1に,B(X)とC(X)を持つ射影多様体の特徴付けとその応用の証明を再度検討し,論文の再構成した.第2に,C(X)が直線からなる非特異多様体,すなわちロス多様体Xのカステルヌーボ-マンフォード正則数の上限について再検討し論文を再構成した.更に,これまでの本研究の結果と課題を概説にまとめ,研究方針を明確にした.第3に,C(X)で非特異射影多様体の2重点因子の基点の研究を継続した.C(X)が1点で,その点からの線形射影像が有理スクロールとなる場合,次元がn,次数d,型が(a, m, b),標準因子K_X,埋め込みを定める直線束O_X(1)のとき,2重点因子はO_X(d-n-a-1)-K_Xとなるが,この因子の基点は,空集合であることが昨年までに示されていた.これを進め,正の整数sに対し,O_X(d-n-a-1-s)-K_Xが基点を持たないためのsの上限を与えた.第4に,B(X)に1次元以上の既約成分を2つ以上持つ射影多様体の特徴付けの証明の再検討を行った.これの問題は引き続き研究が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで行ってきた研究課題で残された問題を幾つか解決することができ,さらに,これらを通して新たな課題が見つかるなど,研究の糸口があるため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,B(X)に1次元以上の既約成分を2つ以上持つ射影多様体の特徴付けの証明の完成をまず行う.さらに,2重点因子の線形束が基点を持つかどうかの研究を,特異点を持つ射影多様体の場合に行っていく.他方で,スクロールや一般の射影多様体のm-正規性やカステルヌーボ-マンフォード正則性について検討する.
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Causes of Carryover |
予定していた旅費が,予定よりも少ない額で済んだためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金は,今年度の研究旅費として使用する予定である.
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