2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲場 道明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80359934)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モジュライ / 接続 / 分岐不確定特異点 / 導来圏 / ベクトル束 |
Outline of Annual Research Achievements |
15年度は非特異射影代数曲線上で分岐不確定特異点を持つ放物接続のモジュライ空間の構成を与える論文の完成をさせる予定であったが、原稿作成中の15年度途中に主結果に不備がみつかり、その後、修正に取り組んでいた。修正を繰り返したために予想外の時間がかかってしまった。 分岐不確定特異点を持つ接続のformal typeに相当するものがgeneric ramified typeであるものに限れば、モジュライ空間の定義と構成はほぼ完全に修正ができ、非特異性、次元の辻褄、シンプレクティック形式の構成などが確認でき、論文の形としては残せそうである。分岐不確定特異点を持つ接続のexponentとなるべきformal typeがgenericでない場合は、拡張した意味でのramified typeを考える必要がある。この場合は一応修正したモジュライ空間の候補があって、非特異性や次元の辻褄は合う目論見であるが、シンプレクティック形式の候補が非退化であることと閉形式であることを示すために用いるモジュライ空間の変形の構成を現在確認中で、これを完全にしないうちは確信をもって修正に成功したとは言えない状態である。 修正を主とする論文作成に没頭していたために15年度は出張が少なかったが、2月に鹿児島出張で、村上氏、吉岡氏と議論をし、導来圏の対象のモジュライに関する知見を得、2月と3月に神戸出張で吉岡氏、光明氏と議論して、安定層のモジュライ、確定特異点を持つ放物接続のモジュライについての知見を広めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
15年度ほぼ確実に実行する予定であった分岐不確定特異点を持つ代数曲線上の放物接続のモジュライ空間の構成に関する論文の原稿に不備がみつかり、15年度は修正の繰り返しとなってしまい、最終的にgeneric ramified typeの場合は肯定的に修正できる見込みである一方で、一般の場合も含めたモジュライ空間の構成の修正は希望的ではあるものの、その完成にはしばらく時間がかかる見込みであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
16年度は、昨年度の失敗の教訓を踏まえ、研究結果を確実に発表することを第一としたい。exponentがgeneric ramified typeの場合はモジュライ空間の構成を与えられているため、確実に論文の形にできるはずである。その上で、exponentがgenericでない場合は、15年度中にほとんどの修正のアイディアは作っているので、場合によっては強い条件を課したもとで、確実に論文の結果として出せる形にする予定である。 一方、この分野が必ずしも日本の代数幾何分野周辺で最近注目されていないため、プレプリントを公表したのちに口頭発表等で広めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成15年度は本研究課題の最も基礎的となる分岐不確定特異点を持つ代数曲線上の接続のモジュライ空間の論文を完成させてから、研究発表のための研究費使用をする予定であったところ、論文の原稿に不備がみつかり、15年度はその修正に没頭してしまった。そのために今年度は予定交付額を執行できず、来年度は早々に論文をプレプリントの形で出した後に16年度に発表のための旅費等の研究費として使用する予定であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
16年度の前半には基礎的な結果となるべき分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成を与える論文をプレプリントとして完成させて発表する予定である。その後に、その結果を口頭発表していく予定である。このテーマは現在日本の代数幾何周辺分野では近年注目されていないため、ライバル兼研究仲間たちの励みのためにも、広く研究発表するため、15年度未使用となった研究費を旅費等で使う予定となる。
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