2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲場 道明 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80359934)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モジュライ / 接続 / 不確定特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
非特異射影代数曲線上で不確定特異点を持つ代数的接続のモジュライ空間の構成とその性質の研究を主な研究目的としている. 非特異射影代数曲線上,分岐不確定特異点でgenericなexponentを持つ接続のモジュライ空間の構成を与える論文をプレプリントとして完成させ,arxivに公表した.この論文では,モジュライ空間の非特異性,次元,シンプレクティック形式を与えている.分岐不確定特異点を持つ場合,特異点におけるformal connectionのデータをどのように制御して全体の大域接続のパラメータ付けをするかが困難なところであり,先行結果のBoalch,Bremer-Sage,廣江-山川の結果においては,特異点におけるlocal framing付きのモジュライ空間を用いて射影直線上の自明束の上の分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成を与えていた.今回の論文では,各特異点において商固有空間のデータとある種のfiltrationを組み合わせてformal dataの代用とすることでこの困難を乗り越え,例えば射影直線上のモジュライ空間の場合,underlying bundleが自明束という不自然な仮定を外すことができている.また,シンプレクティック形式が閉形式であることと非退化性を証明するときに,分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間から不分岐不確定特異点や確定特異点を持つ接続のモジュライへの変形を構成しているところも特徴的なアイデアである. 一方,確定特異点で特定のスペクトル型を持つ放物接続のモジュライ空間の構成と非特異性,次元,シンプレクティック形式,モノドロミー保存変形のパンルべ性を与えた論文を齋藤政彦氏と共著で投稿し,Journal of the Mathematical Society of Japanに掲載の受理を受けた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分岐不確定特異点を持つ接続で,genericなexponentをもつもののモジュライ空間の構成を論文として完成させ,arxivに公表することができたため,概ね順調に研究は進んでいると考える.この論文の中で不分岐不確定特異点,確定特異点を持つ接続のモジュライ空間への変形を用いており,この手法を拡張して新たな理論を構築を29年度に予定しているため,27年度の遅れを十分に取り戻せると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に完成させた,分岐確定特異点でgenericなexponentを持つ接続のモジュライ空間についての論文で,不分岐不確定,確定特異点を持つ接続のモジュライ空間への変形を用いていた.これをexponentがgenericでないものに拡張するためには,確定特異点を持つ接続のモジュライ空間を従来の枠組みを超えたモジュライ空間に定義を拡張する必要が生じる.具体的には接続のデータのパラメータ付けと,各特異点の上に定まるある種の随伴軌道でパラメータ付けされる線形写像のデータ込みのモジュライ空間を構成する予定である.不分岐不確定特異点のiso-Stokes変形方程式は,神保-三輪-上野によるSchlesinger方程式の拡張理論が古典的に良く知られているが,確定特異点の場合に拡張した意味での接続のモジュライ空間の上でiso-Stokes変形の拡張となるような方程式を定め、それの退化として,既知である不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間上のiso-Stokes変形方程式を記述する理論を作ろうと考えている.
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Causes of Carryover |
27年度において, 分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成を与える論文の原稿を作成していた際,exponentがgenericでない場合に証明に不備が見つかり,大幅な修正を行って28年度はexponentがgenericな場合に限って分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成を与える論文の完成を着実に実行した.着実な論文執筆と独自の研究に集中していたため,研究発表等の機会がほとんど得られず,研究集会への出席などの調査研究も効果的に実施できなかったため,28年度も助成金を予定通りには使用できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は28年度に完成させた論文のアイデアを発展させて確定特異点を持つ接続のモジュライ理論を新たに拡張する理論の構築を目指し,数理物理などの分野からの新しいアイデアを取り入れるべく,研究集会などへの出席の調査研究旅費,また自分自身の研究結果発表も見込んで,助成金をより多く使用していく予定である.
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Research Products
(1 results)