2017 Fiscal Year Research-status Report
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26400043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲場 道明 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80359934)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モジュライ / 不確定接続 / 合流問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、代数曲線上で不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間と、確定特異点を持つ接続のモジュライ空間を繋げる合流問題に向けた研究に取り組み始めた。最も単純な場合として不分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間のunfoldingの構成に取り組んだ。まず、不分岐接続の局所exponentのデータをパラメータ付けするために、相異なる固有値を持つ対角行列を固定しておき、この対角行列についての多項式のデータとして局所exponentとしてパラメータ付けするアイデアを見出した。この局所exponentのデータの空間の上の接続の相対モジュライ空間として、確定特異点を持つ接続のモジュライ空間から、不分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間への退化を構成した。この手法で、モジュライ空間上のシンプレクティック形式を、明示的に記述することもできた。 一方、HurtubiseとLambertとRousseauによるストークスデータのunfoldingの理論が構築されており、これを接続のモジュライ空間に適用する研究にも取り組んだ。ここで、ある種のベクトル場のflowの解析が乗り越えるべき問題となるが、unfoldingを与える局所方程式を特別な場合に制限して考えることで初等的な計算に帰着させた。このflowに沿って漸近的な解析的基本解を微分して、Jimbo-Miwa-Ueno方程式のunfoldingを局所的に構成する形でモジュライ空間上に一般モノドロミー保存変形のunfoldingを構成する道筋をつけることができた。この結果の論文は原稿作成中であるが、今年度の1月に熊本大学の代数幾何セミナーにて概略の講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分岐不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成についての論文は昨年度完成させて現在投稿中、齋藤政彦氏との共著論文であるスペクトル型を固定した確定特異点を持つ接続のモジュライ空間についての論文は掲載受理を受けていて、結果も概ね形になっている。一方、今年度は特に接続のモジュライ空間の合流問題に取り組み、不分岐不確定特異点を確定特異点にunfoldするモジュライ空間の代数的構成は比較的早いうちに証明を作った。この相対モジュライ空間にHurtubise,Lambert,Rousseauによるunfoldingの理論を適用しようと試みて、理論の理解に時間がかかったが、Jimbo-Miwa-Ueno方程式のunofoldingを局所的に構成し、それを大域的に貼り合わせる形で、モジュライ空間上一般モノドロミー保存変形のunfoldingを大域的に構成する道筋をつけることができた。論文の原稿を作成中に年度末を迎えることとなったが、この理論の概要は熊本大学代数幾何セミナーの講演で発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に内容はほぼ完成させている、不分岐不確定接続のモジュライ空間上の一般モノドロミー保存変形の確定特異点へのunfoldingの理論についての最初の論文を完成させて近いうちにarxivに公表して論文を投稿する予定である。また、インドのバンガロールでの国際研究集会に招待されていて、この内容の講演をする予定である。さらに、今後の発展的な研究課題として、分岐不確定接続のモジュライ空間のunfoldingの理論の構築に取り組みたい。generic型のramifiedの場合は、代数幾何的な相対モジュライ空間の構成のアイデアは既に持っているが、その場合でも一般モノドロミー保存変形のunfoldingの構成は今まで先行結果が全くなく、何らかの結果が出せれば理想的であると考えている。
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Causes of Carryover |
2016年度に作成中の論文原稿に方針の間違いを発見したため、研究の方針の変更を行い、その結果、論文投稿など各種研究実行に遅れが生じ、研究助成金の使用が滞ってしまった。2016年度のうちに研究の方針修正できて、2017年度は概ね順調に研究を進めることができたが、積算した使用額が大えきくなってしまった。2018年度は、インドバンガローの国際研究集会で、2017年度のうちに主に構築した理論についての発表も行う予定であり、研究発表その他のために未使用額を合わせて助成金を使用すると、丁度適切な支出となる見込みである。
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Research Products
(3 results)