2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400045
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
橋本 光靖 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10208465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 概主束 / F有理 / 不変式環 |
Outline of Annual Research Achievements |
概主束の不変式論に関する基礎的な構成の主要部について155ページの論文にまとめ、arXiv に投稿の上、学術雑誌に投稿した。この論文を作成中に、(G_{n-1})+(S_n) 条件をみたすネーター環の一般化として、n-canonical module の概念に至り、研究を進めた。定義及びごく基本的な性質については上記論文に述べたが、その後の研究を進めており、平成27年度のひとつの課題である。また、概主束の考え方のひとつの応用として、有限群の不変式環のフロベニウス直像の漸近的挙動に関して、P. Symonds 氏と共同で結果を得、現在論文作成を目指すところまできた。これについては、Frobenius 極限という、考える群は違うが、Grothendieck group における fundamental class に相当するものを考え、不変式環においてそれを求めた。その応用として、F有理であるがF正則ではない有限群の多項式環への線形作用による不変式環の例を得た。これについては、不変式環の三内の双対F符号数が正になるための必要十分条件を作用に関する表現論的な言葉で特徴付けることを用いた。F有限な正標数のネーター局所環がF有理になるための必要十分条件は三内の結果によって双対F符号数が正であり、かつ、Cohen-Macaulay であることなので、不変式環の Cohen-Macaulay 性を modulo にして、不変式環のF有理性が特徴付けられたことになる。F有理性に関する結果は「可換環論シンポジウム」において発表し、報告集を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の大きな目標である、3部作の論文を完成させることは実行された。有限群の不変式環について、フロベニウス直像に根ざした不変量の決定を行うことは Symonds 氏との共同研究である程度満足いく結果を出しており、応用としてもF有理でF正則ではない不変式環の例を得ることができたので、順調であると言って言い過ぎではないと思う。高い次元を持つ代数群の作用についての概主束など、まったく手付かずの部分もあるので、平成27年度以降の目的が前倒しで出来ているとはいえないが、ペースとしては予定の通りの進行になっていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的として挙げていて、まだ手付かずである次元の高い代数群に関する概主束について、すでに多くのことがわかっている determinantal ring の場合を足がかりに、箙に付随して現れる作用などの具体例を調べることからはじめ、一般論へと至ることが出来れば良いと考えている。また、平成26年度に得られていて、論文発表まで至っていない内容もあるので、きちんと出していきたい。平成26年度は代表者橋本のけがにより、海外における研究交流など、計画したことで実現できていないことがある。メールによるやりとりなどで補ってきたが、健康回復し、実現に無理がなくなった時点で、必要度の高い順に実現をしていきたい。
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Causes of Carryover |
5月に大怪我を負い、夏の間の招聘、年度を通しての自身の内外への出張の計画を変更せざるを得なくなった。特に、イギリスのマンチェスター大学の P. Symonds 氏を訪問する予定がいまだに立てられない状況になっている。メール等を用いた連絡を頻繁に行い、研究自体は前に進んでいる状況であるが、このままでは大きい進展が難しい状況となりつつある。また、国内での研究集会参加が少なくなったことから、情報収集がやや遅れている点がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏に再手術を予定していることから、28年夏は旅行の予定が立たない。28年度は年度末に当初予定していた訪問先で、相手方の都合のつくところへ海外出張して訪問する。健康の回復に合わせて国内への出張を増やし、平成29年度には、遅れにより意味を失ったところを除き、当初の予定の訪問先に訪問を実施する。全体としての使用額に大幅な変更はない見込みであり、全体の使用額の予定には現在のところ変更は生じていない。旅費以外の費目については、問題なく消化しているので、当初の計画通りで使用していく。
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Research Products
(4 results)