2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400054
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
チャン ティフン 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00649824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 直之 明治大学, 理工学部, 講師 (80440155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 概ゴレンシュタイン環 / 正規ヒルベルト係数 / リース代数 / 随伴次数環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、非Gorenstein環論の展開にある。その一環として、研究代表者は2件の研究を実施した。まず1件目は、「そもそもCohen-Macaulay環とは何か」をより深く知るため、非Cohen-Macaulayであるsequentially Cohen-Macaulay性に関する研究を、明治大学の谷口直樹氏、Thai Nguyen大学のNguyen Thi Dung氏およびTran Nguyen An氏との共同で実施した。本研究では加群のfiltrationに付随する次数加群R(M), R'(M), G(M)の間のsequentially Cohen-Macaulay性の関係性を解明し、Cohen-Macaulay性に関してよく知られている後藤-下田タイプの判定法に類似する結果を示した。2件目の研究では、イデアルの正規Hilbert係数の評価式を与えるとともに、そのイデアルに付随する随伴次数環のCohen-Macaulay性との関係を提示したものである。これらの研究は、すでに論文としてまとめており、国際的な研究雑誌への投稿を行う。 研究分担者・松岡直之は、大阪大学の村井聡氏との共同研究で、Stanley-Reisner環の概Gorenstein性の解析を行い、高次元の概Gorenstein次数環の具体例を与えるなどの成果を挙げた。本論文は、現在国際学術誌へ投稿中であり、査読の結果を待っている段階である。また、松岡は9月にはCortona(イタリア)で開催された数値半群に関する国際研究集会へ出席し、1次元のalmost Gorenstein環に関する講演を行った。講演後には、この概念の開発者であるValentina Barucci氏, Ralf Froeberg氏らと、1次元のalmost Gorenstein環論に関する議論を行う機会が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で1年目の課題として掲げている、1次元概Gorenstein環の解析に関しては、未だにやり残したことが散見され、現在も取り組んでいる。しかし、高次元や次数付の概Gorenstein環に関する解析や、具体例の発見などの研究も同時に進行していることを考え、研究の全体を俯瞰するとき、次の課題である高次元の概Gorenstein環論の構築に向けた活動には支障はないと判断される。本研究はおおむね順調に推移していると評価されると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
高次元の概Gorenstein環論の構築を目標とする。その上で、以下の課題に取り組む。 課題(1) イデアルに付随する正規Hilbert係数の解析 課題(2) イデアルに付随するRees代数の概Gorenstein性の解析 課題(3) (特に、概Gorensitein環内の)UlrichイデアルおよびUlrich加群の分類 課題(1)に関しては、研究代表者を中心として発展しつつある研究をさらに深化させる。正規なFiltrationに付随する次数環がCohen-Macaulayである場合に、それがいつalmost Gorensteinとなるかも課題として念頭におきながら、本研究を進めていく。課題(2)は、連携研究者・後藤四郎と日本大学の吉田健一氏との間で研究が進行しており、この研究活動に研究代表者、研究分担者も積極的に参加する。概Gorenstein環の具体例の発見のみならず、概Gorenstein Rees代数がいかに含まれるかから基礎環の情報が得られることにも期待したい。課題(3)に関しても、名古屋大学の高橋亮氏らも加わり、密接な研究連絡の中で研究が進められている。Ulrich加群は概Gorenstein環論の基礎であり、その解析は概Gorenstein環論の構築には必要不可欠と言える。 研究代表者と研究分担者は、毎週の共同セミナーを持ち、相互に研究連絡を行いながら研究を進める体制が整っている。
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Causes of Carryover |
当初、計算用のコンピュータの購入を含めて検討を行っていたが、現時点では既存の機材で十分な計算を実行可能であったため。また、参加を予定していた研究集会と校務が重なり、参加が叶わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究者招聘経費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)