2016 Fiscal Year Research-status Report
ループ群による曲面のワイエルシュトラス型の表現公式とその応用
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26400059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 真平 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40408654)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワイエルシュトラス型の表現公式 / ループ群 / ソリトン方程式 / 極小曲面 / 離散曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,反de Sitter空間の極小曲面と離散アフィン球面のワイエルシュトラス型の表現公式について研究を行った.まず反de Sitter空間の極小曲面について,同済大学(中国)のPeng Wang氏との研究打ち合わせをマサチューセッツ大学(アメリカ)において行い,研究の大幅な進捗が得られた.特に,正則化面積についての厳密な数学的定式化を得る事ができた.この成果は,幾何学および弦理論双方のコミュニティに取って十分な意義を持つ結果である.現在,論文発表に向けて研究結果の精査をしている所である.
次に離散アフィン球面のワイエルシュトラス型の表現公式については,福岡大学の松浦望氏との共同研究を行い,表現公式を完全に確立した.これによって,簡単な離散データをもちいて複雑な離散アフィン球面を得る事ができる.特に,非固有と呼ばれるクラスについての表現公式については,非常に簡明な表現公式を得る事ができた.連続の場合,ワイエルシュトラス型の表現公式は,無限次元リー群であるループ群の分解定理を用いている為,具体的に求める事はほとんどの場合困難である.しかしながら離散の場合,ループ群の分解が有限次元の問題に置き換わり,具体的に実行できる.従って様々な具体的な問題に応用できるという利点がある.実際に実用的なアルゴリズムや良い具体例の構成はこれからの課題である.この研究成果については,論文を纏めており2017年度中には投稿できる見込みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反de Sitter空間の極小曲面について,研究上の重要な進展があった.また,ワイエルシュトラス型の表現公式の離散化という思いがけない方向の研究も進展があった.結果として,ワイエルシュトラス型の表現公式の離散化については,論文を纏める所までできている.
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Strategy for Future Research Activity |
反de Sitter空間の極小曲面の正則化面積についての結果を精査して論文に纏める.また,当初の目的であった複素リー群SO(6, C)のループ群の実型の分類を用いた,ワイエルシュトラス型の表現公式の統一的記述を目標にする.
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Causes of Carryover |
2016年度末のアメリカにおける研究打ち合わせと国際研究集会での発表が,2017年度にまたがっており,その為形式的に次年度繰越が生じている.従って実質的には,繰越はない.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,8月にドイツに微分幾何と可積分系の国際研究集会が開かれる予定であり,これに参加,発表する.またこれに合わせて,共同研究者との打ち合わせを適宜行う予定である.
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