2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400070
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤木 明 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80027383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎 一郎 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20146806)
後藤 竜司 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30252571)
小木曽 啓示 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40224133)
臼井 三平 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90117002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ツイスター空間 / 反自己双対多様体 / 双エルミート構造 / 非ケーラー曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的で述べた事項に関連して, Pontecorvo 氏と共同で次のような結果が示せたと考える. 1. 放物型井上曲面上の反自己双対双エルミート構造の例は, LeBrun('91) によるものと, Fujiki-Pontecorvo('10)によるものが, 唯一の例である. 前者はは計量の明示的構成, 後者はツイスター空間を経由する, など両者の構成は全く異なっており比較は難しいが, 実は両者は一致する. 2. 1.における 我々の反自己双対双エルミート構造の構成では, 対応するLee束は退化パラメータの役割を演じるが, 放物型井上曲面の場合は, その上の楕円曲線の"周期"も退化パラメータの役割を持つ. 実際, (我々の例とは無関係に)一般の放物型井上曲面上の任意の反自己双対双エルミート構造に対して, 両者は常に一致することを示した. 特に, 放物型井上曲面では, その上の反自己双対双エルミート構造のLee 束は, 反自己双対構造によらず, 曲面の複素同型類によってのみ決まる. また証明方法を双曲型井上曲面の場合に適用すると,(任意の)反自己双対双エルミート構造に対して,双エルミート構造から定まる二つの双曲型井上曲面は, 互いに"転置"の関係にある. また, Lee 束は, それら二曲面の和集合の幾何学で完全に定まる. 3. 2 の結果とApostolov-Bailey-Dloussky による(必ずしも反自己双対とは限らない)双エルミート構造の存在の判定条件と組み合わせて, 放物型井上曲面上に反自己双対でない双エルミート構造の例を与えた. この例は, 二次ベッチ数 m が正となる極小非ケーラー曲面(加藤曲面)上の反自己双対でない双エルミート構造の最初の例を与える. 4. 井上曲面でない m>0 の一般の加藤曲面に対して,反標準因子を曲面上の有理曲線の正整数係数の一次結合で表わす精密な公式を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的でも述べた主に放物型の井上曲面についての進展は, 細部を再度注意深く検討を要するとしても, 自身としては以前から理解したかった点を含み, また, 反自己双対でない例の発見も予期しない進展で, 一応満足している. ただ, 研究目的でたてた予想 1 の中心問題からは少しはなれているので, おおむね, とした. 反自己双対でない例の発見は, 研究の主目的ではなかったが, 関連分野の発展に応じて, 研究方向は常に柔軟に考えていくのは当然であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は, 全年度までの基盤(B)で行った研究の継続であり, 予想1については, 既に多くの蓄積があるが, 最終的な形を求めるあまり, 論文にまとめる方向がおろそかになっていることは事実である. 本年度は, 上記研究実績の内容で述べたことを含めて, それらをまとめ上げることに注力したい. 問題2 については, もともと大変に難しい問題であり, 何らかの端緒, アイディアをもとめて随時考えを巡らせたい.
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Causes of Carryover |
長期的観点から文献への常時アクセス状態を改善整備するために, タブレットPC等の購入を考えていたが, これを次年度に回したのが一つの要因である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記については, 次年度早期に購入予定である.
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