2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400073
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
酒井 高司 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30381445)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Lagrange部分多様体 / 対称空間 / 複素旗多様体 / 二重調和写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
連結コンパクトLie群Gの随伴軌道はG不変なKahler構造をもち,複素旗多様体と呼ばれる.我々は,複素旗多様体に対して,イソトロピー部分群のあるトーラス部分群の作用によって対蹠集合を定義した.特にコンパクト型Hermite対称空間の場合,これはChen-Naganoにより与えられた対蹠集合に一致する.対称空間の線形イソトロピー表現の軌道は実旗多様体と呼ばれ,複素旗多様体に全測地的Lagrange部分多様体として埋め込まれる.我々は,複素旗様体において互いに合同とは限らない二つの実旗多様体の交叉が離散的になるための必要十分条件を対称三対を用いて表した.さらに,離散的であるとき交叉は対称三対のある種のWeyl群の軌道になり,特に複素旗多様体の対蹠集合になることを示した.これらの結果は井川治氏(京都工芸繊維大学),入江博氏(茨城大学),奥田隆幸氏(広島大学),田崎博之氏(筑波大学)との共同研究で得られた.
Eells-Lemaireは調和写像の一つの拡張として二重調和写像の概念を導入した.これはRiemann多様体の間の写像に対して定まる二重エネルギー汎関数の臨界点となるものとして定義される.我々は,Einstein多様体内においてテンション場が法接続に関して平行となるような部分多様体に対して,二重調和部分多様体になるための必要十分条件を与えた.コンパクト対称空間への可換なHermann作用の軌道に対しては,この条件は対称三対を用いて表すことができる.この判定法を用いて,既約コンパクト型対称空間への可換なHermann作用の軌道の二重調和性を調べ,二重調和等質超曲面となる軌道の分類を与えた.さらに,余次元の高い二重調和等質部分多様体の構成を行った.特に,二重調和な等質Lagrange部分多様体の例が得られた.これらの結果は大野晋司氏(首都大学東京),浦川肇氏(東北大学)との共同研究による.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複素旗多様体の実旗多様体の交叉の構造に関して,これまでに互いに合同な二つの実旗多様体の交叉については対称対の制限ルート系を用いた議論によって,横断的であるとき交叉は対称対のWeyl群の軌道になることが分かっていた.この一般化として,二つのコンパクト対称対の組に対して定まる対称三対の理論を用いることにより,互いに合同とは限らない二つの実旗多様体の交叉の構造と対蹠性を示すことができた.この研究結果について,2015年10月に韓国大田市のNational Institute for Mathematical Instituteで開催されたThe 19th International Workshop on Hermitian-Grassmannian Submanifolds and Its Applicationsにおいて研究発表を行い,survey articleを研究集会のproceedingsとして発表した.
二重調和写像のEuler-Lagrange方程式は4階の非線形偏微分方程式であり,非自明な例を得ることは容易ではない.我々は,コンパクト対称空間への可換なHermann作用の軌道が二重調和部分多様体になるための条件を対称三対を用いて記述し,対称三対の分類に従い二重調和等質超曲面となる軌道の分類を与えた.この結果に関する大野晋司氏,浦川肇氏との共著論文がDifferential Geometry and Its Applicationsに掲載された.
2016年1月22日に首都大学東京においてOne-day Workshop on Submanifolds in Symmetric Spacesを開催した.韓国からYoung Jin Suh氏 (Kyungpook National University), Byung Hak Kim氏 (Kyung Hee University), Changhwa Woo氏 (Kyungpook National University)の3名を招聘し,講演を行ってもらった.対称空間の部分多様体を研究している日本と韓国の研究者が集まり,互いの研究情報の交換と今後の研究についての議論を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では複素旗多様体内の実旗多様体の交叉の構造を調べる際に,二つの対称対を定める対合が可換であることを仮定した.これは対称三対の手法を用いるために必要となる条件である.実際に,コンパクトLie群G上に互いに可換でない対合が存在するが,これらの場合について実形の交叉の構造を具体的に調べる計画である.また,実形の交叉の対蹠性を用いて,複素旗多様体の実形のFloerホモロジーを求める.さらに,その応用として複素旗多様体の実形のHamilton体積最小性を調べる. これまでの研究で可換なHermann作用の軌道の中で二重調和超曲面の分類を与え,余次元が高い場合にも調和でない二重調和部分多様体の例を構成することができた.これらをより一般化し,余次元が高い二重調和部分多様体の組織的な構成を与えることを目指す.Riemann対称空間の線形イソトロピー表現の軌道はR空間と呼ばれ,球面内の等質部分多様体になる.Hermann作用の軌道の場合の類似として,制限ルート系を用いてR空間の二重調和性を調べる. 余等質性1のCalabi-Yau多様体において,運動量写像を用いた手法により,特殊Lagrange部分多様体を構成し,その特異点の挙動を調べる.階数2のコンパクト対称空間の線形イソトロピー表現を用いて,Stenzelによって与えられた球面の余接束に入るCalabi-Yau計量に関する余等質性1の特殊Lagrange部分多様体の研究がHashimoto-Mashimoにより行われた.この類似として,複素射影空間の余接束に入るCalabi-Yau計量について,その特殊Lagrange部分多様体を調べる. 秋葉原微分幾何セミナーおよび「部分多様体論・湯沢2016」開催する.これらの研究集会で関連する研究者たちと議論と情報交換を行い,研究課題を推進する.
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Causes of Carryover |
10月に韓国のKIASとNIMSを訪問したが,この出張で先方から滞在費の補助を受けることができたため,予定していた出張費から差額が生じた.また,3月に秋葉原微分幾何セミナーで講演をお願いした外国人研究者の講演謝金が他からサポートされた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年7月に韓国大邱市で開催されるThe 20th International Workshop on Hermitian Symmetric Spaces and Submanifoldsに参加するための旅費として使用する.
秋葉原微分幾何セミナーおよび「部分多様体論・湯沢2016」の開催を支援する.また,12月に日本と台湾を中心とした幾何学の国際研究集会が計画されており,この研究課題に関連する研究者を招聘する.
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Research Products
(8 results)