2015 Fiscal Year Research-status Report
結び目の有限型不変量による絡み目ミルナー不変量の表現
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26400081
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
安原 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60256625)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミルナー不変量 / HOMFLYPT多項式 / 有限型不変量 / 絡み目 / クローバー絡み目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,絡み目のミルナー不変量を有限型不変量を用いて表す事である.有限型不変量とは,ある性質を満たす不変量の総称であり,具体的な不変量を指すものではない.また,ミルナー不変量は絡み目の成分数がnであるとき,1からnの数字を項にもつ数列に対して,定義される絡み目の不変量である.ミルナー不変量を「具体的」な有限型不変量で表すという問題は,重要かつ難しい問題である. 昨年度までの成果としては,長さk以下の数列に対応するミルナー不変量が消えている絡み目の長さ2k+2以下の数列に対応するミルナー不変量をHOMFLYPT多項式を用いて表す事に成功した. 本年度は,これを踏まえて更なる一般化を試みたが,残念ながら期待した結果は得られなかった. 一方で,ミルナー不変量の性質を研究するため,クローバー絡み目と呼ばれる絡み目を用いた研究を行った.クローバー絡み目はアメリカの数学者レビン教授により絡み目のミルナー不変量の研究の為に定義されたものである.本年度はクローバー絡み目のリンク・ホモトピーと呼ばれる同値関係による分類をミルナー不変量を用いて(ある条件のもと)与える事に成功した.これにより,ミルナー不変量の幾何的特徴が得られたといえる.この結果は,早稲田大学の和田康載氏との共同研究の成果であり.現在,共著論文を査読付き国際雑誌に投稿中である.また,この成果の発表をジョージ・ワシントン大学で開催された国際研究集会および山形で開催された研究集会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究方針を変更したが,想定の範囲内である.実際,方針変更後も一定の成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,被覆絡み目を利用してミルナー不変量の研究を進める.それと同時に,有限型不変量と関係の深いアロー図式を用いて,ミルナー不変量の研究も試みるつもりである.
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Causes of Carryover |
研究代表者が異動のため年度末に予定していた出張ができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
自分の海外出張の機会を増やすとともに,研究協力者の和田康載氏が共同研究の国内外での成果発表の為の国内旅費および海外旅費を支出する.
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Research Products
(3 results)