2014 Fiscal Year Research-status Report
カンドル理論とはめ込み理論を用いたローズマン変形の研究
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26400082
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
田中 心 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (70448950)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トポロジー / 曲面結び目 / カンドル / はめ込み |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(H26年度)は、曲面結び目図式のローズマン変形の独立性について研究を行った。ブランチ点に関わる変形に関して次の成果を得た。同値な有向球面結び目図式のペアで、共にブランチ点を持たないが、ローズマン変形列の中にブランチ点が生じるような例を構成した。証明では、球面の裏返しに現れる四重点の奇数性を用いており、はめ込み理論を曲面結び目理論に援用している点からも興味深い。この結果を成蹊大学の高瀬将道氏との共著論文としてまとめ、ICM2014のサテライト集会など国内外の研究集会で公表した。プレプリントとしてオンラインには公表済みであるが、査読課程に長い時間を費やしており、ジャーナル論文としての公表にはまだ至っていない。
その他、一次元結び目理論の図式に関わる研究に取り組み、「n概正充足絡み目」に関して得た成果を国内の研究集会(琉球結び目セミナー)で発表した。また、「多重共役カンドルのホモロジー理論」の構築に取り掛かり、得られた成果を国内の研究集会(ハンドル体結び目とその周辺VII)で発表した。後者は、南アラバマ大学のScott Carter氏、筑波大学の石井敦氏、南フロリダ大学の齋藤昌彦氏との共同研究であり、現在論文を執筆中である。
当該年度(H26年度)は、新たに二本の論文の採録が決定した。また、国内外の研究集会やセミナーに出席し、専門知識を学ぶと共に、結び目理論研究者たちと議論を交わした。その際の旅費を科研費から捻出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した実施計画では、T2変形に関する研究がH26年度、ブランチ点に関する研究がH27年度の予定であった。取り組む順序は逆になってしまったが、上記に記載の通り、ブランチ点に関して興味深い結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、T2変形に関する研究に取り組む。既に、上智大学の大城佳奈子氏らと共同で研究をスタートさせており、成果が期待できる状況である。
カンドルに関わる研究としては、九州大学の野坂武史氏による多重線形形式に着目している。この理論を介することで、曲面結び目の理解が一層進むものと期待される。
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Causes of Carryover |
海外渡航を計画していたが、学内業務等のため、H26年度に行くことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は、交付申請書に記載の実施計画に従って、研究費を使用する予定である。学内業務が早めに分かった場合は、海外から研究者を招へいするなど、柔軟に対応する。
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