2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 道彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60254231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上 正明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80134443)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 増大級数 / 有限生成群 / 有理関数表示 / ザイフェルト束 / トーラス結び目群 / ケーリー・グラフ / オートマトン / 測地的代表元 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者・藤井道彦は、有限表示可能な離散群 G に対して、幾何的あるいは代数的に最も自然な有限生成系 Γ を一つ選び、群 G の有限生成系 Γ に関するケーリー・グラフ X を考えて、 X 内の測地線を考察し、群 G の測地的ワードアクセプターを構築し、 群 G の有限生成系 Γ に関する球面的増大級数 SZ 及び測地的増大級数 GZ の計算を行った。具体的には、2以上の2つの自然数 p と q を与えると定まる、2つの無限巡回群の融合積となる群 G(p,q) について、ある有限生成系 Γ を選んで、群 G(p,q) の有限生成系 Γ に関する測地的増大級数 GZ の計算を行った。この群 G(p,q) は、特別な場合(すなわち、p と q が互いに素な場合)には、3次元球面内の (p,q) 型のトーラス結び目の補空間 M(p,q) の基本群として、幾何学的に実現されるものである。この3次元多様体 M(p,q) は角度 2π/p および 2π/q の特異点を持つ2次元円板 D(p,q) 上のザイフェルト束の構造を持つ。ここで選んだ有限生成系 Γ は、この幾何構造の観点から最も自然な有限生成系である。平成27年度の研究では、特に p=2 かつ q=5 の場合に次のことを示した。 (1)群 G(2,5) の測地的代表元をすべて決定した。 (2)群 G(2,5) の測地的代表元を受理するワードアクセプターを構成した。 (3)群 G(2,5) の測地的増大級数 GZ の有理関数表示を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、幾何学的に重要な有限表示群 G に対して、幾何的あるいは代数的に自然な有限生成系 Γ を選んで、群 G の有限生成系 Γ に関するケーリー・グラフ X のトポロジーを考察し、 群 G の測地的ワードアクセプターを構築し、群 G の有限生成系 Γ に関する球面的増大級数 SZ 及び測地的増大級数 GZ の有理関数表示を求めることを目的としている。特に、群 G として、(1)Artin 群、(2)写像類群に的を絞って、群 G の Γ に関する球面的増大級数および測地的増大級数を求めることが目的である。 平成27年度の研究では、(1)の Artin 群については、2面体型と密接に関連する場合に、幾何学的に最も自然な有限生成系 Γ を取って、測地的代表元をすべて決定した。その結果、ある特別な場合に、測地的増大級数の有理関数表示を具体的に与えることに成功した。その点で、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、幾何学的に重要な有限表示群 G に対して、幾何的あるいは代数的に自然な有限生成系 Γ を選んで、群 G の有限生成系 Γ に関するケーリー・グラフ X のトポロジーを考察し、 群 G の測地的ワードアクセプターを構築し、群 G の有限生成系 Γ に関する球面的増大級数 SZ 及び測地的増大級数 GZ の有理関数表示を求めることを目的としている。特に、群 G として、(1)Artin 群、(2)写像類群に的を絞って、群 G の Γ に関する球面的増大級数および測地的増大級数を求めることが目的である。 今後の研究の推進方策を具体的に述べると、 (1)の Artin 群に関しては、平成27年度に得られた、2面体型と密接に関連する場合の測地的代表元に関する考察をさらに深めて、すべての場合について、測地的増大級数の有理関数表示を求めていく予定である。 (2)の写像類群に関しては、穴あきトーラス群に的を絞って、その自然な有限生成系に関する測地的代表元の特徴づけを与えていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究計画を遂行するために、平成28年3月8日から4月1日まで、フリブール大学(スイス)に出張した。帰国が4月1日となったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のスイスへの出張旅費として、次年度使用額はすでに使用済みである。
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Research Products
(3 results)