2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400095
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
松本 幸夫 学習院大学, 理学部, 研究員 (20011637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リーマン面 / 写像類群 / モジュライ空間 / コンパクト化 / 結晶群 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年までに引き続き、リーマン面のモジュライ空間の自然なコンパクト化であるドリーニュ・マンフォードコンパクト化(DMコンパクト化)のオービフォールド構造についての研究を行った。前年までの研究で、DMコンパクト化の上の自然なオービフォールド構造がハーヴェイの導入した(リーマン面上の)カーブ複体に含まれる単体によりレベル付けされたオービフォールド・チャートにより与えられることが分かったが、そのチャート上の複素多様体の存在については、Hubbard-Kochによる証明とEarle-Mardenによる証明が出版されている。前者は分かりにくく、後者はやや簡略である。この複素構造の存在とその上の退化したリーマン面の族の構成は重要な事実なので、自分流の証明をつけるべく努力した。現在のところ、Montesinosとの共同研究で開発したリーマン面に働く擬周期写像の「超標準型」に付随する「一般商空間」の上の複素構造を並べた族を構成する方向でその証明を成し遂げようと努力している。ハーヴェイのカーブ複体に含まれる最高次元単体に伴って結晶群が現れることを前年観察したが、その意味を明らかにすべく研究を続行中である。まず短い報告論文を出そうと執筆中であるが、Weil-Petersson計量について理解不足のところがあり、完成がやや遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイヒミュラー空間に伴って結晶群が現れるという観察は従来まったく知られていなかったもので、多方面の研究者の興味を引いた。そのため、この間多くの研究集会から招待講演の依頼を受け、現在も複数の研究機関からの招待を受けている。このため、講演準備に時間がとられ、構想は進展しているものの、構想を最後まで詰める時間が十分に取れなかったことが反省点である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年のこの欄に書いたことがそのまま今後の研究方向である。構想中には自分のまだ知らないこととも多く含まれているので、そのための知識の吸収も欠かせない。
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Causes of Carryover |
当該年度の最終月に行った研究集会に2人の研究者(津田塾大学の久野雄介氏と青山学院大学の粕谷直彦氏)に講演をお願いし、そのための旅費宿泊費を確保しておいたが、実際に両者に支払った額と予定額の間に若干の誤差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も海外渡航がいろいろとありそうなので、この残額は十分に消化できる。
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