2017 Fiscal Year Research-status Report
楕円代数を対称性にもつ可解模型の自由場表現による研究
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26400105
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小島 武夫 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (80307800)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子群 / 超代数 / 自由場表現 / 頂点作用素 / 交換関係 / アフィン・リー代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、量子超代数U_q(sl(M|N)^)の自由場表現、スクリーニング作用素、および頂点作用素を一般のレベルkにおいて構成した。本年はまずこの続きとして、この超代数の自由場表現およびスクリーニング作用素の q->1 における極限を考察した。この極限においてアフィン超代数sl(M|N)^の一般のレベルkにおける自由場表現が得られるが、この自由場表現は今まで知られていたアフィン超代数sl(M|N)^の自由場表現とは異なることが分かった。これらの関係を論文にまとめ公表した。ついで、量子超代数Uq(sl(M|N)^)のレベルk=1の頂点作用素を考察した。この頂点作用素はR行列を係数とする交換関係および反転関係をもつことが期待されるが、これらの関係を自由場表現を用いることにより全て直接計算により証明した。頂点作用素同士の交換関係は想定の範囲内で証明できたが、頂点作用素とその双対作用素の交換関係の証明は積分の数が少なくより単純であることへの気付きがあり、ここから楕円量子群の頂点作用素の構成に突破口が開けるとの心証を持った。この交換関係等の直接証明は現在論文作成中である。来年度はこの切り口から頂点作用素の楕円量子群への一般化を行いたい。また、Uq(sl(M|N)^)の臨界パラメータ|q|=1における頂点作用素の自由場表現を交換関係から逆算することで構成した。さらに、超代数sl(M|N)を基にした量子トロイダル代数の自由場表現の構成に関して一定の結果を得ており、来年度はこれを発展させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定していなかった楕円量子群への一般化へのヒントを得たこと、および量子トロイダル超代数の自由場表現の道筋が構築されつつあるのは、当初の計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、量子W超代数W_{q,t}(sl(M|N))の自由場表現の構成に注力したい。これに関しては試論としての研究があるようだが、何ができていて何が分かっていないのかについて十分に信頼のおける文献に欠けている。これは信頼のおける研究者の方々にも確認した事実である。まずはこの辺の整理整頓を徹底し、一般化を行いたい。さらに量子トロイダル超代数を導入し、それを用いて量子W超代数を自由場表現を用いずに再構成したい。これが量子W超代数の最も強固な数学的裏付けとなるであろう。さらに、これらの副産物として無限個の可換保存則の構成も行いたい。
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Research Products
(5 results)