2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400106
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹山 美宏 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (60375392)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 確率過程 / 表現論 / アフィンヘッケ代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では, アフィンヘッケ代数の変形を用いて, 可積分な確率過程を構成することに成功した. 以前の研究で, デルタ関数型の斥力相互作用をもつ 1次元ボゾン粒子系のハミルトニアンに対し, その離散化をアフィンヘッケ代数の表現論を用いて構成した. ハミルトニアンの離散化として得られる差分作用素は 2つのパラメータを含むが, これらを特殊化すると, 連続時間のマルコフ連鎖を定める生成作用素となる. これが定める確率過程は, 笹本-和達によって定義された q-Boson 系にほかならない. 以上の観察を踏まえて, さらに多くのパラメータを含む離散的なハミルトニアンを導入する. このようなハミルトニアンは, アフィンヘッケ代数に新たなパラメータを導入して変形した代数を考え, その表現論を用いることにより構成できる. 結果として得られるハミルトニアンは 4つのパラメータを含む. これらを適当に特殊化すると, マルコフ連鎖の生成作用素となる. その結果として得られる確率過程は, Povolotsky によって定義された q-Hahn 系の連続時間極限となっている. q-Hahn 系の生成作用素の固有関数はベーテ仮設法によって既に構成されているが, 上述の代数的構成の枠組みのなかでは自然に得ることができ, その表現論的な意味も分かる. q-ボゾン系および q-Hahn 系は, いずれも可積分な確率過程として知られているが, その代数的な構造について得られた結果としては, 本年度の研究成果が初めてのものだと思われる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では, 可積分な確率過程に潜む代数的構造の一端を明らかにすることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果を踏まえて, 可積分な確率過程の代数的構造に関する研究を進める. 特に, 1次元の量子系の離散化として捉えることにより, 生成作用素にあたるものを構成し, その意味を明らかにしたい. 時間があれば, もうひとつの研究対象である多重ゼータ値の q 類似についても考察を始めたい.
|
Research Products
(5 results)