2016 Fiscal Year Research-status Report
古典系および量子系におけるエントロピーなどの情報量に関する不等式についての研究
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26400119
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
柳 研二郎 城西大学, 理学部, 客員教授 (90108267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 宏 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30200538) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歪情報量 / トレース不等式 / 不確定性関係 / 忠実度 / トレース距離 / 量子情報理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子力学の基本的な不等式にHeisenbergとSchrodingerの2つの不確定性関係がよく知られている.これらの結果の様々な形の精密化や拡張を目指している.metric adjusted skew informationへの一般化,さらにその不確定性関係との関係等,作用素論や作用素不等式の観点からの拡張等が得られた.特に物理量を非エルミートにした場合の不確定性関係が得られた.さらに2つの物理状態の間のある種の距離を表す忠実度(fidelity)とトレース距離の間の関係式で一部作用素の絶対値を左と右の乗積作用素を用いて評価した新しい不等式を与えた.これは今までのよく知られた不等式より精密な不等式を与えている.今後は和の形をした不確定性関係にも言及していきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた一般化歪情報量に関する不確定性関係が得られた.またその非エルミート拡張が得られ,その応用としてDou-Duの結果をその系として得た.また忠実度とトレース距離の間の関係式を新しい不等式として与えた.さらに和の形をした新しい不確定性関係についても情報収集をおこない現在論文として準備している段階である.以上より研究の目的の達成度としてはおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
不確定性関係をある種のトレース不等式としてとらえ,物理状態が2つの場合にどのような不等式が対応しているかを詳しく調べる.また忠実度とトレース距離との間の関係式を一般の正作用素の場合に拡張した不等式を提案し,そのさらなる応用を試みる.また通常の不確定性関係は積の形をしたトレース不等式であるが,今後和の形をしたトレース不等式の研究に発展させる予定である.今までにはエントロピーに関する不確定性関係は和の形のトレース不等式であるが,別の表現にも進展させたい.
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