2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400128
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小谷 眞一 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (10025463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千代延 大造 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50197638)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | KdV方程式 / シュレーディンガー作用素 / Herglotz関数 / スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で佐藤理論を使うことによりある種の概周期的初期関数を含む関数空間上にKdV力学系が構成できていたが,2015年度にはまずこの関数空間を一般化することに努力した.KdV方程式の解は初期関数のWeyl関数の無限回の変換で構成できることが,この初期関数がこの関数空間に属することはわかっている.そこで,この無限回の変換がより一般のWeyl関数に対しても収束することが示せれば,より一般の初期関数に対してKdV方程式の解が構成できることになるので,この収束を証明しようと試みたが,今のところ成功していない.現在では佐藤の方法で基礎となるHardy空間を一般の領域のHardy空間に拡張することでKdV力学系を構成するという,いわば原点に返って考察を続けており,いくつかの重要なアイデアを得ている.証明が完成する可能性は高いと思っている. 一般の概周期的な初期関数から出発するKdV方程式の解を構成することは,chaoticな解を構成するまでの一段階として重要であるが,一方,シフトに関するRemlingの定理をKdV方程式まで拡張するという問題に対しても欠くことができないステップである. この辺の事情に関しては,2015年の4,5,6月の3か月間Newton数理科学研究所のプログラム「Periodic and ergodic spectral problems」に参加し,研究発表および研究交流を行った.また国内でも複数の機会に研究発表し,徐々に研究者の関心を得てきていると感じている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KdV力学系の構成がHerglotz関数の無限回の変換で可能であると予想して,かなり努力したが,非常に困難である.その原因は,各段階ごとにより高い微分の評価が必要になり,評価が閉じないからである.現在ではこの方法にこだわるのを止め,他の方法を試みている.しかし,このHerglotz関数の方法はwhite noiseから出発する解を構成するときには唯一の可能性と思われるので,常に念頭に置くことにしている.
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Strategy for Future Research Activity |
一般の複素領域でのHardy空間上で佐藤理論を展開することを試みる.現在,基礎的な考察を行っているが,対応するシュレーディンガー作用素のスペクトルが下に有界の場合には指数の方に3次の多項式が乗った関数が掛け算としてこのHardy空間に有界作用素として働くので,この方法でKdV力学系が構成できる可能性があると思っている.
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Causes of Carryover |
物品費が予定より低額であったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関係図書を購入予定
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Research Products
(5 results)