2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400135
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
塩沢 裕一 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60454518)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ディリクレ形式 / マルコフ過程 / 脱出レート / 保存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.対称マルコフ過程の lower rate function を調べた。この関数は,粒子が無限遠方に逃げる速さを表すので,非再帰性(粒子が遠方に逃げる性質)を定量化したものと見なせる。本研究では,与えられた関数が lower rate function になるための十分条件を,マルコフ過程の対称化測度の体積増大度と,推移密度関数の対角成分の長時間挙動を用いて与えた。さらに,粒子の動く速さをランダムに変更した確率過程(時間変更過程)について,upper/lower rate function を元々の確率過程の対応物を用いて精密に評価した。本成果をまとめた論文は雑誌への掲載が決まっている。 2.Jian Wang 氏(福建師範大学/京都大学)と,対称マルコフ過程の保存性および upper/lower rate function に関する研究打合せを行った。また,正宗 淳 氏(東北大学),Xueping Huang 氏(東北大学)と,対称マルコフ過程の保存性に関する本の執筆に関する研究打ち合わせを行った。次年度も研究打ち合わせを継続する予定である。 3.国内外のセミナーおよび研究集会に参加し,研究成果を発表するとともに,研究情報を収集した。 4.国際研究集会「Stochastic Processes, Analysis and Mathematical Physics」(関西大学,2014年8月25日~29日),海外からの講演者を交えたワークショップ「Workshop on Probability at Kansai University」(関西大学,2015年1月31日),岡山周辺の研究者を対象とした「岡山解析・確率論セミナー」を共同で開催し,研究交流や情報交換を行った。本研究費の一部を講演者の旅費にあてた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称マルコフ過程のlower rate function の解析を進め,一定の成果を得ることができたため。特に時間変更過程のlower rate function の決定は,研究開始時には全く予想していない結果であった。また,正宗 淳 氏,Xueping Huang 氏,Jian Wang 氏との研究打ち合わせを通じて,対称マルコフ過程の保存性および upper/lower rate functionに関する知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究を通じて,対称マルコフ過程の経路解析について一定の知見を得ることができた。ただし,lower rate functionの判定条件を得るために,体積倍増条件など強い仮定が課されている。次年度は,これらの仮定を緩めることができないか,また判定条件の精密性について検討する。さらに,当該年度に得た結果を国内外の研究集会で発表するとともに,研究者と議論を重ねる。 次年度は,日本とドイツとの確率論に関する研究交流を発展させるための研究集会を仙台で開催予定である。この機会を活かして,ドイツ側からの参加者と議論を行い,研究課題を広げていきたい。
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Research Products
(7 results)