2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400142
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
半田 賢司 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10238214)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | split / merge / 区間分割 / 定常分布 / 相関関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mayer-Wolfら(2002,EJP)による一般化split-mergeモデルに関して考察した.これは単位区間の可算個の部分区間族を状態として取るマルコフ連鎖である.時間発展は,区間幅に応じてランダムに選ばれた2つの小区間が合併したり,あるいは同様に選ばれた1つの小区間がその上の一様分布で定まる点を境に2つの小区間へと分裂することでなされる.合併と分裂の起こりやすさの比が一つのパラメータθにより記述される. Mayer-Wolfらの論文では主にこのモデルの定常分布が議論されており,実質的に相関関数の満たすべき方程式系が導出されているが,その詳細を吟味したところ,1つの重要な項が見落とされているという誤りがある(定常分布であるはずのPoisson-Dirichlet分布の相関関数がその方程式系を満たさないことが確かめられる.).我々はこの部分を適切に修正し,かつその後で適切に変形することにより,Poisson-Dirichlet分布が定常分布であるという事実に対して彼らとは別の,より簡明な証明を与えることができた. また,その方程式系は,解析系の論文で議論されているある種の凝結・分裂モデルにおいて(発見的に)導かれる方程式系と密接な類似構造を持つことがわかった.解析系の文脈では全くアプリオリに「ある種の凝結・分裂モデルが背後にある」という想定で議論が出発しているが,それがどのようなものかという点について明確な記述はない.その意味において,我々の現時点での結果は,これまで明確でなかった肝心な点を限定的な場合ながらも明らかにしたという意義を持つものと考えられる. Λ-coalescent過程に関しては,それの代表的な場合を生物の研究者が議論しているとの情報をある研究集会で確認し,彼らの問題意識や解析的手法を知る機会が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般化split-mergeモデルの相関関数の列に関して得られた方程式系はちょうどBBGKY階層のように次数が上へ上へと上がっていくため,その定常解の一意性を議論する際に困難がある.
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Strategy for Future Research Activity |
BBGKY階層やBoltzman階層の解析についてどのような議論がなされているか,どのような手法が可能かについて調べ,一般化split-mergeモデルに付随する方程式系に対してもそれが応用可能であるかを検証する.別の方策として,付随するランダム測度の特徴づけからの接近も試みる.定常分布の一意性が得られた後は,エルゴード性を調べる. Λ-coalescent過程の短時間挙動については,背後にあるPoisson点過程に対する大偏差原理の観点から考察する.
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Causes of Carryover |
年度末に計画していた出張を急な会議で取りやめた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画していた出張と同様の出張に使用する.
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