2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400147
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂川 博宣 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60348810)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 界面モデル / 相転移 / Gauss場 / Gibbs測度 |
Outline of Annual Research Achievements |
例えば0度における水と氷といったような相転移が起きている状況で現れる異なる二相を分離する相分離界面に関する物理現象の数学的な解析を目指し,∇φ界面モデル,Δφ界面モデル, SOSモデルといったいくつかの長距離相関をもつ確率場を取り上げ,様々な外場の加わった下での確率場の漸近挙動を調べることが本研究の目的であった. 2014年度はΔφモデルに対し場を正に条件付けた下での界面の挙動に関する問題に取り組んだ.この問題は∇φモデルに対してはこれまでに様々な研究がなされている.Δφモデルに対しては研究代表者坂川が以前に与えた高次元の場合の部分的な結果に続いて,Kurt(2008, 2009)によって4次元以上の場合は完全に解決され,更にCipriani(2013)によって対応する4次元格子上のGauss場の最大値の精密な評価がなされていたが,3次元以下の場合は未解決であった. これに対し最近Δφモデルに関連した別のGauss場の解析で用いられた離散フーリエ解析の手法を援用することで,3次元以下のΔφモデルで場が正となる事象が考えている系のサイズNに依らず正の確率で起こるという結果を得た.これは∇φ界面モデルでは対応する確率が0に収束するのと比べて大きく異なる結果である. しかしながら,確率の評価を与えることができたのは場が正となる領域がモデルを考えている領域全体ではなく,一辺のサイズO(N)の小さな領域に制限した場合だけで,得られた結果は部分的なものにとどまっている.これはΔφ界面モデルの特徴として相互作用が強磁性的でないためFKG不等式などの相関不等式が使えないことが理由であるが,この問題の解決については研究を継続することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3次元以下のΔφモデルで場が正となる事象の確率の評価を与えることができたが,いくつかの技術的な理由により部分的な結果にとどまっており,論文として投稿・出版できる段階まではまだ達していない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続いて相分離界面に関連した長距離相関を持つ確率場の漸近挙動に関する解析を進める.
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Causes of Carryover |
参加を予定していた研究集会に都合により参加できなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と合わせ計画通り旅費および物品費に使用する予定である.
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