2018 Fiscal Year Research-status Report
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26400151
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小森 洋平 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70264794)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複素解析幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにタイヒミュラー・モジュラー部分群と幾何学的コクセター群との類似の観点から、コクセター系から擬アノソフ写像を構成し、その拡大率を調べてきた。Zehrtと梅本はある4次元余コンパクト双曲Coxeter群の族について、増大度関数の有理関数表示の分母多項式が2-Salem数の最小多項式か、または2つのSalem数の最小多項式の積のどちらかになることを示した。ここで1より大きい実代数的整数αが2-Salem数であるとは、αともう1つの共役元βのみ1より大きな実数で、αとβの逆数を除くすべての共役元の絶対値が1になることである。今年度7月にボンのHausdorff研究所で開催された国際会議において、エジンバラ大学のC.Smythとの共同研究により、Zehrtや梅本が扱った4次元余コンパクト双曲Coxeter群の増大度は全て2-Salem数になることを、増大度関数の分母多項式の既約性から示すことができた。また前年度までにaffine Coxeter系A_{k-1}に新たな辺を1つ付け加えたCoxeter系Ah_kを考察し、そのCoxeterグラフの2重被覆に対応する2部グラフのCoxeter系について、偶数kが8以下ならhyperbolicで、kが10以上ならhigher-rankになることを示した。そして興味深いことにこのhigher-rankになる場合には、2部Coxeter元のスペクトル半径β(W,S)が数値実験では2-Salem数になる。このように4次元余コンパクト双曲Coxeter群の増大度として現れた2-Salem数という代数的整数のクラスが、higher-rank Coxeter系の2部Coxeter元のスペクトル半径β(W,S)にも現れた現象をさらに調べ、その理由を今後追求して行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までにaffine Coxeter 系A_{k-1}に新たな辺を1つ付け加えた Coxeter 系Ah_kを考察し、そのCoxeterグラフの2重被覆に対応する2部グラフのCoxeter系について、偶数kが8以下ならhyperbolicで、kが10以上ならhigher-rankになることを示した。今年度はこの2部Coxeter元の固有多項式の既約性を示すことで、2部Coxeter元のスペクトル半径β(W,S)が2-Salem数になることを示したかったが、エジンバラ大学のC.Smythとの共同研究で行ったZehrtや梅本が扱った4次元余コンパクト双曲Coxeter群の増大関数の分母多項式の既約性の方法がうまく使えなかった。その理由は2部Coxeter元の固有多項式の次数が有界ではないので、既存のMahler多項式のデータが使えないことにあった。また研究代表者は今年度秋学期から大学の執行部の仕事に携わり、研究時間の確保や研究連絡のための出張等に出かける時間が取れなかったことも研究が遅れている理由の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
Affine Coxeter系A_{k-1}に新たな辺を1つ付け加えたCoxeter系Ah_kのCoxeterグラフの2重被覆に対応する2部グラフのCoxeter系について、その2部Coxeter元の固有多項式の既約性を示すアイデアとして、既存のMahler多項式のデータの更新が考えられる。そのためこの分野の第一人者であるエジンバラ大学のC.Smythとの共同研究を今後も続けて行きたい。また数値実験で既約性を確認してくれたベルン大学のVincent Emeryとの研究連絡も続けてゆく。
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Causes of Carryover |
参加を予定していたドイツのOberwolfach研究所での国際会議が2019年4月の開催になった。
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Research Products
(2 results)