2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26400153
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
伊東 恵一 摂南大学, 理工学部, 教授 (50268489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣島 文生 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (00330358)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | くりこみ群 / シグマ模型 / 格子ゲージ模型 / ブロックスピン変換 / 境界壁 / 中心極限定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
繰り込み群を用いて, 古典的問題である「2次元シグマモデルの相転移不存在の問題」を研究している。この問題は「4次元格子ゲージ理論でのクオーク粒子幽閉」に関連する問題でもあるが, 未解決である。私は (i) スピン方向が異なる境界壁のエネルギー評価, (ii) 非線形項の積分方法(中心極限定理を援用), (iii) ブロックスピン変換, (iv) 非線形漸化式の収束証明, という4つのステップを経て解決しようとしている。連続スピンの場合, Ising スピンと異なって明確な境界は存在しないが, 厚みを持たせて陰的ではあるが定義できることがわかり, これは従前の Ising スピンの境界壁の役割を果たす。一番の問題点は系が非線形であることで, たとへば, exp[-x^4] の積分を非摂動的に処理することが必要になる。 これは「大 N 近似」を用い、中心極限定理でガウス積分に還元できることがわかった。これは一種の線形化である。この線形化をへれば, 系のブロックスピン変換による流れがコントロールされることがわかった。すなわち系はワインの瓶の底のかたちをした wine-bottle-potential で当初あらわされるが, このブロックスピン変換によってこの形状は保存される. すなわち瓶底の曲率は変換しても一定にたもたれ、その底の位置だけが一回の変換によって定数分だけ高温領域に近ずく。 これは繰り込み変換によって系の大方の性質は変わらず, かつ高温領域に近ずくことを, すなわち相転移不存在を示す。 この考えは前述の格子ゲージ理論にも応用ができると考えられ、現在研究を進めている。
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