2016 Fiscal Year Research-status Report
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26400162
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
久保 雅弘 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80205129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非線形発展方程式 / 変分不等式 / 準変分不等式 / 非線形偏微分方程式 / 劣微分作用素 / 不動点定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、楕円型準変分不等式について、本研究当初の「研究の目的」に沿う形での抽象論を完成することに成功した。すなわち、不動点解析において、多価作用素に関する不動点定理を使える形に議論を改良・修正することにより、従来仮定していた汎関数の狭義凸性を凸性に緩和することに成功したということである。これによって、具体的問題への応用上も、与えられたデータの仮定を弱めることができるようになった。抽象的理論についての成果を、生物拡散モデル等の具体的問題への応用例とともに論文としてまとめ、査読を通過し、当該年度中に公刊された。 つぎに、放物型準変分不等式について、先行研究を統合する形で、解の存在についての抽象論を構築することに成功した。解の制約条件としては、未知関数に依存する準変分不等式が扱えるのみならず、偏微分作用素として、劣微分作用素のみでは書くことができない(オイラー・ラグランジュ型にはおさまらない)広いクラスのものが扱えるようになった。解のクラスとして、ヒルベルト空間値の強微分を持つ「強解」の存在を証明することができた。証明においては先行研究で用いられていたアイデア(研究代表者のものも含む)を統合するのみならず、他の研究者達の従来の議論を整理して見透しよくしたとともに、統合に際して生ずる微妙な論点を、ヒルベルト空間値の右半連続関数の空間を基礎関数空間として用いる精密な議論を行うことによって、統合を完成することができた。証明に際して新たに導入されたこれらのアイデアは、今後の発展に向けて有用な知見を与えるものと考えている。広い範囲をカバーする抽象理論ができたことによって、多様な具体的応用を統一的に理解する基盤ができたので、いくつかの応用例とともに論文としてまとめ、査読付きジャーナルにおける公刊に向けて作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
楕円型準変分不等式については、当初予定していた目標が達成されて、論文が公刊された。放物型準変分不等式については、抽象論が完成して、論文公刊に向けての作業が開始できた。これらのことはおおむね当初の研究予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
抽象的放物型準変分不等式の強解存在定理と具体的問題への応用に関する論文を公刊するように作業をすすめる。 解の存在についての理論を確立できたので、これを踏まえてさらに、解の漸近挙動(周期解の存在・一意性・漸近安定性等)や最適制御問題へと研究を進めてゆく。
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Research Products
(1 results)