2016 Fiscal Year Research-status Report
(N-2)次元曲面の与えるAllen-Cahn方程式のN次元進行波
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26400169
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷口 雅治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (30260623)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 進行波 |
Outline of Annual Research Achievements |
滑らかな境界を持つ凸図形が与えられたときに,これを切断面とする多次元進行波の存在を証明し,その安定性を示すことが本課題の目的である。私はこれをAllen--Cahn方程式(Nagumo方程式)において示すことに成功し,"SIAM Journal on Mathematical Analysis, Vol. 47, No. 1 (2015), pp. 455-476"に掲載された。与えられて凸図形が球である場合は対応する多次元進行波は,Hamel, Monneau, Roquejoffre(DCDSA, 2005)によって証明された軸対称進行波となる。滑らかな境界を持つ凸図形が2個与えられた時,対応する多次元進行波が一致する必要十分条件は,それらの凸図形が等幅拡張によって一致することである。 このような軸非対称な進行波の存在がAllen--Cahn方程式(Nagumo方程式)のみに止まらず,他の方程式系においても存在する普遍的な現象であることを示すために,私は生物学において現れるLotka--Volterra系と呼ばれる競争拡散系に着目した。2016年度において私は,Lotka--Volterra競争系を含む一般の競合拡散方程式系において 「滑らかな境界を持つ凸図形が与えられたときに,これを切断面とする多次元進行波」の存在および安定性を証明した。その成果は"Journal of Differential Equations, 260 (2016), pp. 4301-4338"に掲載された。この成果を私は2016年10月の大韓民国数学会におけるスペシャルセッションでの招待講演などにおいて口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
滑らかな境界を持つ凸図形が与えられた時に,これを切断面とする多次元進行波の存在を証明しその安定性を示す研究を,未知関数が1個である Allen--Cahn方程式において遂行することが本研究の目的であった。この研究の内容が "SIAM Journal on Mathematical Analysis, Vol. 47, No. 1 (2015), pp. 455-476"に掲載され,未知関数が2個の場合である競合拡散系においてもその研究成果が"Journal of Differential Equations, 260 (2016), pp. 4301-4338"に掲載されたため,本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,日本数学会の MSJ Memoir シリーズの一冊として,本研究課題の内容を含む進行波(traveling waves)の本を執筆中である。これを今年度中に脱稿することが今後の研究の推進方策の一つである。
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Causes of Carryover |
2017年7月にスロバキアの首都ブラチスラバで開催される国際研究集会 Equadiff2017における講演を依頼されたためその旅費を確保するために2016年度の支出を抑制し2017年度に18万円あまりを残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年7月にスロバキアの首都ブラチスラバで開催される国際研究集会 Equadiff2017に参加・講演する旅費として使用する。
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