2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26400172
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
仙葉 隆 福岡大学, 理学部, 教授 (30196985)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 走化性方程式 / 知覚関数 / 間接的走化性方程式 / 爆発解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、一般化された走化性方程式の解構造を調べ、これまで研究されてきた基本的な走化性方程式の解構造と比較することである。ここで走化性方程式とは生物が化学物質の刺激を受けて移動する性質のことであり、走化性方程式は生物が自分自身が分泌した化学物質に引き寄せられることによって起こる集中現象を記述するために導出された方程式である。 基本的な走化性方程式では知覚関数が線形となっており、本研究では知覚関数を一般化した走化性方程式の研究が目的の一つである。知覚関数とは生物が化学物質から受ける刺激と化学物質の濃度との関係を表す関数である。本年度の研究により、生物の移動に関する時定数が十分小さな場合に走化性方程式系のすべての解が時間大域的に存在するための知覚関数の条件と領域の次元の関係を明らかにした。昨年度は、同様の状況で領域が2次元の場合について研究成果を得たが、本年度はその手法を多次元領域に適用することに成功し前述の成果を得た。ここで得られた成果は、生物の時定数が0である場合の先行研究を踏まえると最善の条件となっていると予想される。以上の成果は、論文にまとめて現在投稿中である。 さらに、化学物質の化学変化を考慮に入れた走化性方程式の一般化も考えた。この方程式は、生物、生物が分泌する化学物質、化学物質が化学変化を起こした物質の3種類の分布を未知関数し、化学変化した物質が生物に刺激を与える状況を表す方程式系である。昨年度は、この方程式のリアプノフ関数を構成しそれを用いて解が時間大域的に存在し有界になる初期分布の条件を明らかにした。本年度は、同方程式の解が有限時刻または無限時刻で爆発する条件を明らかにすることができた。この成果により昨年度得られた時間大域的に存在し有界となる条件が最良のものであることが明らかになった。この成果は、論文にまとめて現在投稿中である。
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Research Products
(4 results)