2014 Fiscal Year Research-status Report
縮約系を応用した高次元空間にみられる現象の解明と解析的手法の構築
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26400173
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
辻川 亨 宮崎大学, 工学部, 教授 (10258288)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | bifurcation / stationary solution / stability |
Outline of Annual Research Achievements |
走化性増殖モデル方程式の拡散と移流係数を大きくした場合の極限方程式(以後Shadow Systemという)について、分岐理論と特異摂動法を用いて定常解の局所的な存在を、またその解を起点として大域的な解構造を解明し、線形化固有値問題を解析することでそれらの解の安定性を示した。特にアレンカーン型とロジスティック型の2つの増殖項について、その解構造の違いと類似性を示した。また、数値的に非定数定常解からホップ分岐が起こることを示し、その解析も進めている。 次に、吸着反応モデル方程式の定常解について、適当な関数空間を設定することでパラメータに関する収束性を示し、係数が大きい場合の定常解の構造を解明するにはShadow Systemを考察することが重要であることを示した。一方、その方程式のShadow Systemの定常解の大域的解構造も示した。また、類似の方程式において、非定数定常解から2次分岐が起こることを特殊関数を用いて示した。空間多次元有界領域において拡散移流Lotka-Volterra 競争系に対して、非定数定常解の存在に関する十分条件を示した。次に、この方程式についてもShadow System を導出し、非定数定常解の大域的な分岐構造を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
走化性増殖モデル、触媒反応モデルなどの反応拡散方程式について、その定常解の大域的構造を示すために、拡散及び移流係数を大きくした場合の極限系(Shadow System)である積分条件付きの2階楕円型方程式を導出し、定常解について適当な関数空間を設定することでパラメータに関する収束性も示した。これにより定常解について、Shadow Syatemを解析することにより、パラメータが十分大きい場合の解構造も求めることができる。また、分岐理論、特異摂動法などを用いることにより大域的解構造を解明した。また、触媒反応モデルにおける 定常解の集合がほとんどの場合Jordan曲線となることも示した。一方、定数解からの分岐解のについて分岐点近傍のもの、及び拡散係数が十分小さい場合の特異極限解についてはその安定性を示すことができた。また、類似の積分条件付き方程式について、適当な変数変換により特殊関数を用いて定常解の表示が可能となり、すべての定常解を求めることができた。これにより、非定数定常解から2次分岐も起こること、および線形化固有地問題を解析することで定常解の安定性も示した。 空間多次元有界領域において閉じた拡散移流Lotka&-Volterra 競争系に対して、Leray-Schauder degree 理論を用いて非定数定常解の存在に関する十分条件を示した。次に、1次元問題について対応するShadow System を導出し、非定数定常解の大域的な分岐構造を示した。この集合は境界層と内部遷移層を持つ2つの特異極限解を端点にもつ無限次元関数空間での曲線となることも示した。
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Strategy for Future Research Activity |
数値計算により得られた周期解の存在を理論的に解析するため、増殖率が小さい場合を想定することで、そのシステムが緩和振動系になることを示す。一般的な反応拡散方程式において緩和振動系であることを示すためには、いくつか仮定を必要とする。例えば部分力学系における定常解の大域的安定性などである。一方、Shadow System においては、その部分力学系が積分微分方程式となることから解析的扱が容易となる。 これまでの研究では定常問題の極限系であるShadow System を主に扱ってきた。また、形式的に定常解のまわりでの線形化固有値問題を解析することで安定性を議論した。一方、非線形半群の理論により発展方程式において、対応する力学系が有限次元の指数アトラクターをもち、移流及び拡散係数が大きくなることでその次元がいくらでも大きくなることを示した。そこで、パラメータに関する力学系としての連続性及び収束性を考察する。 触媒反応モデルのShadow Systemにおいて、ほとんどのパラメータにおいて、その定常解の大域的構造を理論的に示しました。しかし、ある特別な場合についてはその構造が異なる(非定数定常解からの2次分岐)ことを予想している。この問題を解決するためには定常解の形状を求める必要があり、良い近似解を構成することで証明することを目指す。
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Research Products
(5 results)