2014 Fiscal Year Research-status Report
(粘)弾性体における破壊現象およびAging問題に対する数学解析
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26400178
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 弘道 東京理科大学, 理学部, 講師 (30400790)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関数方程式論 / 非線形弾性体 / 粘弾性体 / 電気インピーダンストモグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
き裂先端や角における(粘)弾性体方程式の解の性質を深く解析することにより、実際に起きている破壊現象の背景にある数理構造の解明を目指し、平成26年度には主に以下の研究活動を行った。 海外研究協力者であるK.R.Rajagopal氏(Texas A&M University)を6月に招聘し、様々な粘弾性体モデルや非線形弾性体モデルについての研究議論を行った。それを通じ、新しい知見を得ることができた。その中でいくつかのモデルに対する数学的問題設定を行った。特に、線形弾性体で表される脆性破壊よりもより一般的な破壊現象を捉えられる非線形弾性体モデル"strain-limiting model"について、モデルの物理的背景や先行研究などを調査し、解の性質(解の存在性とその正則性、き裂先端における解の挙動)について考察した。この問題については次年度以降も継続して研究を進めていく計画である。 また、本研究課題の応用としての位置付けに、非破壊検査に関わる逆問題がある。ここでは、溶接の精度評価に関する逆問題について考察した。具体的には、池畠優氏(広島大学)等との共同研究により、電気インピーダンストモグラフィーによる2次元導電体薄板内のスポット溶接部の1組の観測データによる理論的再構成方法を確立した。本研究成果は共著論文として国際専門雑誌へ投稿し、現在は引き続きその有用性を確認するために数値実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の大きな目標は粘弾性体のAging問題や非線形弾性体に関する結果を得る事であるが、この数学解析は先行研究も少なく、非常に困難な課題である。しかし、問題点が整理されている現況であるので、研究は着実に進展しており、進行状況はおおむね順調といえる。 また、当初、本研究課題の応用としての位置付けであった逆問題につても、研究協力者である広島大学の池畠優氏等との共同研究において、溶接の制度評価に関わる再構成の新しい結果が得られた事は、本研究の波及効果の大きさを物語るものであるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も概ね当初の計画通りに研究を進めていく方針であるが、今後も海外研究協力者であるK.R.Rajagopal氏を招聘し、粘弾性体モデルだけでなく、様々な弾性体モデルの知見を得ながら、モデルの背景も十分に理解したいと考えている。そして、破壊現象を念頭において、粘弾性体のみに拘らず、幅広く研究を遂行していく所存である。
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Causes of Carryover |
海外出張の際、為替レートの変動により差異が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額であるため、使用計画等に一切の変更はない。
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Research Products
(9 results)