2015 Fiscal Year Research-status Report
(粘)弾性体における破壊現象およびAging問題に対する数学解析
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26400178
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 弘道 東京理科大学, 理学部, 講師 (30400790)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関数方程式論 / 非線形弾性体 / 粘弾性体 / き裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
(粘)弾性体における破壊現象の数学解析をテーマとして、平成27年度には主に以下の研究活動を行った。 海外研究協力者であるK.R.Rajagopal教授(Texas A&M University)を6月に招聘し、様々な非線形弾性体や粘弾性体モデルについての研究討論を行った。特に、線形弾性体の脆性破壊よりもより一般的な破壊現象を捉えられる非線形弾性体モデル"strain-limiting model"について研究討論を行った。その結果、変分法の専門家であるV.A.Kovtunenko氏(University of Graz)との共同研究により、2次元または3次元のき裂を含む非線形弾性体領域における境界値問題について、解のregularityが得られる場合は弱解となる一般化された解の存在性を示した。この研究の特徴は、従来の弾性体の枠組みであるコーシー弾性体などよりも一般的な、応力と歪みの構成方程式がimplicitに与えらえる枠組みの1つの非線形モデルでありかつ、微小歪みの仮定は保持するものの応力に関しては小ささなどの仮定は必要としない破壊現象に適した新しいモデル"strain-limiting model"を扱っていることである。さらに、き裂上では非貫通条件と呼ばれる不等式タイプの非線形条件を考慮している。また、証明の際、正則化された問題を考えているが、これは元の非線形問題の構成的な近似を与えているので、数値計算への応用も期待される。 本研究成果はV.A.Kovtunenko氏とK.R.Rajagopal教授との共著論文として国際専門誌への掲載が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標は粘弾性体やAging問題に関する結果を得ることであるが、それに向けて着実に研究成果は出ている。今後は、平成27年度に得られた非線形弾性体モデルの研究成果を発展させ、さらに粘弾性体モデルに応用していく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も概ね当初の計画通りに研究を進めていく方針である。特に破壊現象を念頭において、これまで得られた結果を進展させていく。具体的には、平成27年度に考察した非線形弾性体モデルの解のき裂先端近傍における挙動を解析すること、および研究成果の粘弾性体モデルへの拡張を計画している。また、本研究課題の応用としての位置付けである(粘)弾性体における逆問題についても考察していきたい。
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Causes of Carryover |
海外出張の際の為替レートの変動により、細かい差異が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額であるため、使用計画に変更の必要はない。
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Research Products
(15 results)